東京国立博物館 平常展 その2

#その他芸術、アート

円空展に続いて本館をさらっと一回りしてきました。

近衛信尹の略画が面白く、時期的にも江戸の俳画・禅画の先駆けでしょう。

良寛筆の「書簡」は真面目さが良く出ていて、越後の新雪が輝くようです。

良寛さんには、竹が便所の床の下から生えてきて天井につかえてしまったので、天井に穴を開けてあげようとして蝋燭で焼こうとしたら便所が全焼してしまった、という逸話がありますが、これも前回の円空のような、自然が自然に持っている性質を生かしきりたいという心情の究極の表れでしょう。

このエピソードを現代の合理主義の基準から笑い話にだけで済ませてしまう人は多いかもしれません。しかしその江戸時代からみるとまるで真逆。そんな合理主義のはずのわれらの時代はかえって地の恵みをまるで生かしきれずに、人を含めた自然や国土を傷つけてしまっているのではないでしょうか。数え切れませんが、再エネは言わずもがな、食べ残しも多ければ生かせるゴミも多いです。

深く考えるべきことですが、簡潔にまとめると、テクノロジーを作るのも、使うのも、人の心であるということでしょう。そしてやはりそこに国単位で注目することが重要なのだと思うのです。

一方胆力派の白隠筆の「粉引歌」は猛烈にして雄渾。

「一重口水指 銘 柴庵 信楽 安土桃山時代・16世紀」は大きなひび割れが伊賀焼のようであり、ごつごつと吹き出すような質感が荒々しいです。その真剣な破調はまさに命を賭けた遊び。ホームページで画像もみられるみたいなので、よければご一見を。

「天下人の実像」のコーナーでは織田信長筆のものは少ないらしく「書状」は重要な資料。上からガンガン書いていくような字で、覇気があるといえるでしょう。

豊臣秀吉筆のものは多く「和歌」にはダーッとした勢いが感じられ、はらはらと典雅でざっくばらんです。縦にしっかり並んでいます。「豊臣秀吉朱印状」は能具を贈るという話らしく、趣味がしのばれます。

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