太田記念美術館 「北斎と暁斎-奇想の漫画」展 後期 その7

#その他芸術、アート

行って参りました。

肉筆画はさながら太田美術館名品展。最初の北斎の「羅漢図」も有名な晩年の代表作。人と鬼の間のような外見の羅漢が掲げているお椀から噴煙のような煙が立ち昇っており、その先には雷鳴が轟いています。妖気の塊のような絵で、羅漢ですけど、他の絵の提婆達多に少し似ている様な・・・・(^_^;)

「見立三番叟」も洒脱な美人画。上の作品が描かれる40年前のものです。

暁斎の「鍾馗と五月幟」は人間っぽい鍾馗。

瀧では「諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝」が根を張るような幾重にも分岐した瀧で、解説の「別の生命体のよう」というのはまさにその通りです。

暁斎の「蒙古賊船退治之図」は長州藩が外国船を砲撃したものを蒙古襲来を装って描いたものですが、山のような波の表現が特徴的。

「二十四孝」など今回も暁斎の版下絵が展示されていましたが、どうも実際に彫り上げたものより、版下絵の方が美術的な価値が高いように思います。他の完成品は粗く、化学染料が画面に馴染んでいません。
明治になって彫師などのレヴェルが低下しているのか・・・・。そういったことも版下絵が大量に残されていることと関係があるのかもしれません。
「彫師泣かせの厳密な筆捌きが見て取れる」との解説。

「北斎漫画十二編」は達磨の変顔二つに、定評のある巨大タコがなぜか里芋畑を荒らしている図。

伝記などを読んでいても結構冗談が書いてあり、狂歌もたくさん残っているようなので、そういった性格が絵にも表れているのでしょう。

暁斎の「狸の戯」は国芳が得意だった狸の巨大金玉ねたで、臼の上に乗っかっていたりして、今にも杵に突かれ撞かれそうなっています。

「北斎漫画三編」は北斎の「ミツワリの法」なる構図法が紹介されていて、これは同じようなものを広重に感じることもあるので、浮世絵全体の技法ともいえるでしょう。

「西洋の透視図法を厳密に理解してはいないが北斎の作画技法の一端がうかがえる」とのことですが、そういったものも加味した日本独特の構図法ともいえるでしょう。具体的にいうと、だだっ広い空ばかりが描き込まれるということが無くなり、特に風景画において格段にバランスが良くなると思います。

「富嶽百景二編」は「神奈川沖浪裏」ばりの波ですが、モノクロなので強調しなければいけないのか、より遠慮が無い印象。さーーーーっという波の砕ける直前の音が聴こえるようです。

「富嶽百景三編」は岩穴から観える富士と障子に写った逆さの富士ですが、それを鑑賞している人の動きがキレキレです。

「北斎漫画八編」は「群盲象を撫でる」のことわざを絵画化したもの。

「諸国瀧廻り 美濃ノ国養老の滝」は火柱のような瀧で滝壺の荒れ具合が猛烈な破壊力を示してしています。

暁斎の「東海道 名所之内 那智ノ瀧」は抽象的なまでの整然とした水量が圧倒的です。

「北斎漫画三編」は仙台のすずめ踊りを描いたもの。

「暁斎楽画 第四 極楽の文明開化」は文明開化で解放された七福神を描いているらしく、福禄寿はシルクハットをかぶっています。

「北斎漫画四編」は浮き腹巻なる浮き輪をつけている人が描かれていて、そういうのがあったみたいです。

「北斎漫画六篇」は柔術の極め技が良く描かれています。

「北斎漫画十一編」は相撲を描いていて、四股は当然、直立しながら足を曲げる式のもの。古い動画で観ても、最古の記録である小錦のトリッキーな四股に比べると時代が下った常陸山の四股は微妙に違う感じで、これや浮世絵に描かれるものは挙げた足を深く曲げるものでより大砲に近いですね。

後期も良い作品がたくさんあって面白かったです。ありがとうございました。

とても面白かったです

コメント

タイトルとURLをコピーしました