ぐるっと黒海4000キロ「アジアと欧州の交差点を行く」(前編)

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「ぐるっと黒海4000キロ「アジアと欧州の交差点を行く」(前編)」ではウクライナの農家の方を訪問していて、結果的にウクライナの一連の事件直前の庶民の声を拾った貴重なものになっています。

昔はみんなのことを考えていたが、今はみんな自分たちのことしか考えなくなった。変な感じ。旧ソ連時代の方が生活は良かった。農家でも車が買えた。EUに入りたいといっているのは首都の連中だけだ。とのこと。

ウクライナもやはり民族問題であるという以上に経済の問題というのも大きいのでしょう。ウクライナ政府が旧ソ連時代以上の生活と秩序を農村に提供できなかった、というのが一つの火種になっているのだと感じました。

ホロドモールというウクライナの大飢饉のときのソ連の狼藉なども紹介されていましたが、ウクライナ政府がある程度しっかりやっていれば、ソ連にくっつくのは嫌だと思うんですよね。

しかしものすごく広大な農地で、こういった所が穀倉地帯として覚醒したら、日本は絶対に量で勝負はしてはいけませんね。

黒海を様々な宗教が取り囲んでいて、実に複雑な地域だなという印象。いろいろな国が舌を伸ばして飲み水を確保するように、国境の端をがんばって黒海に到達させている感じ。

ちょっといった町で全く宗教が違うのはほとんど漫画のような感じ。漫画だとエキゾチックな演出にもなりますが、実際に観てみると古くからの流れにがんじがらめになっている不自由な印象が強いです。

とはいえ、多民族極まるソチでおばさまが「どこの民族かは関係ないんです。隣にいる人を大事にすることが大切だから」といっていましたが、宗教的な精神の本質が協調のカギなのだと思います。

しかしソチはロシアの「組織」としての強大さゆえか、取り上げ方がかなりきれいごとでしたね。

未来世紀ジパングの「ニュースが伝えない「ウクライナ騒乱」~意外な日本ブーム~」ではコサックダンスもボルシチもみんなウクライナ発祥、ということをやっていましたけど、こういった面もロシアは多民族から吸い上げて取り込んでいるのだなと思いました。この混交具合がモスクワの力にもなるんでしょうね。

ブルガリアではロシアのおかげ自分たちが独立できたと地域の人は絶賛調。大国の思惑に翻弄云々とナレーションでバランスをとっている感じでした。

キリスト教圏の感覚としてはそうなのでしょうし、こちらでもEUに加盟してから若者が西欧に行ってしまい老人しかいなくなったらしく、そういう西欧への反発がロシアを美化している可能性もあるのかもしれません。

この黒海沿岸地域を観ていくと、EUにとっての東欧はブロック経済圏下の植民地のような雰囲気もあります。

ノーベル平和賞??自由主義・民主主義は常に犠牲を欲しているのだなという感覚も沸きます。

ギリシャ正教の人たちはひたすら五体投地をしていて、チベット密教のようなキリスト教だなと思いました。修行の体系も本当にキリスト教なのかといった感じの変わったものがあると聞いています。

結論としてはEUは、EUの、人類の幸福を目指すなら、もっと東欧の農村地域に気配りをするべきだということ。そうすれば紛争による混乱もかなりの程度回避されるのではないでしょうか。日本の地方政策と共通するものと言えましょう。

私たちは例えばフランスならフランスを取り上げて、その中での都市と農村に対する政策を観ていきますが、本当はヨーロッパにおいては西欧と東欧が、日本の都市と農村に相当するのかもしれません。伝統的に東欧は西欧の穀倉地帯なので当たり前の話しでもありますが。

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