NHKドキュメンタリー – エマニュエル・トッド 混迷の世界を読み解く その1

ではトッドはまずは日本の少子化問題を指摘。フランスと比較し理由を「伝統的な家族システム」に求めましたが、実際は利権にカネをつぎ込むのに忙しいただの政府の怠慢です。

これは歴史学的に日本の伝統的な家族システムではないことが明らかになっていますが(作られた伝統。江戸期も核家族が多かったといわれています。この誤解については「長男史観」とも指摘されています)トッドもさすがにそこまでは情報が浚えないのでしょうね。

安倍が歴史を無視して日本の家族を形を語るのを専門家がいくら批判しようが安倍が持論を変えないことに専門家が辟易していますが、これは現代日本社会を映したものでもあって「知識人」の間でさえいくら偏見を指摘しようがこの見解をまるで変えようとしない人が大多数です。

それにトッドもあてられています。

この偏見がしぶとく生き残る理由の一は、個人主義の西洋と集団主義の東洋、という西洋が生み出した「オリエンタリズム」に西洋依存の現代日本人が西洋以上に規定されているからだと考えます。

幻想がそれと被るがゆえに強固に残存しているのです。

トッドは「家族システム」の専門家なのだそうですけど、そうであればここら辺は慎重に情報を集めてほしところ。

また「書評・紹介 家族システムの起源 Ⅰ ユーラシア (上) 〔2分冊〕」(http://fujiwara-shoten.co.jp/main/reviews/archives/2016/08/_2_1.php)によると「家族システムの起源」(エマニュエル・トッド (著))では「トッドの考えでは、母系制は父系制の優位に対する反動として生まれたもの」と著述されているそうですが、本当なのか。

白川静さんはかなりジェンダー的な視点を持っていた古代研究者でしたけど、氏がたどれる範囲で言えば、古代アジアでは母系制が取られていたとのこと。

アジア各地に母系的なものが残っているので、そこから父系的なものが確立していったと考えられますが、その原点と思われるものはすでに反転したものだったとトッドは言うのだろうか?

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