美味しんぼ 福島の真実篇

#その他文化活動

この騒動には正直興味が沸かない、といいますか、以前は鼻血が出たなどという記事は事実としてどこにでも載っていて、当時は特に問題視されませんでした。

震災を忘れてしまいたいという意識がこのような事件になっているのでしょうけど、基準のいい加減さや、社会の退嬰具合に馬鹿らしさを感じます。

人の忘れさすさ、というのも非常によくわかりますよね。歴史学や民俗学が正確な答えを出す困難さ、というのもここから感じられます。

とはいえ自然にいろいろ耳に情報が入ってきてしまう騒動ではあったので、以下にそのまとめを。

重複している部分も多いですが、時系列で。

5月12日は美味しんぼネタが多かった日。

何か巷では美味しんぼネタが盛り上がっていて「おはよう寺ちゃん」では上念司氏がは口をすぼめて非難。

放射線量で中韓にも福島より酷いところはある、という話。ローマなどの例も出していたかと思いますが、問題は内部被曝です。

夕方以降のニュースでも取り上げていましたが、例えばNスタでは堀尾さんが何が真実で何がフィクションなのかあきらかにしてほしい、とまとめましたが、特集中東電の単語は出てこず。

このような事故で誰も責任を取っていないことが一番の大事なのです。それこそが一番センセーショナルな話題であるべきなのです。

荒川強啓さんのラジオでは「風評被害良くないよねということを美味しんぼは言っている。」と青木さん。

「良くわからないから議論すればいいわけで」とのことですけど、議論そのものを封じたい人が世の中にものすごくいるということが今回の騒動に表れています。

同日の大竹まことさんのラジオでは、鼻血で野田政権を追及していた森少子化大臣の話を。

福島の父母の中ではこの話はタヴー化していて「意見を言い合う状況すらできていない」と阿川さん。

ラジオ全体を通して、物凄く歯に物が挟まったかのようないいかたでした。

そもそもで忘れてはいけないことですが、単語が出てきませんでしたけど、悪いのは東電です。

子供を持つ家庭で、放射能が心配だといういう家には、子供一人につき一億円を社員の私費から捻出して払う、ということにすれば議論がオープンになって、タヴーではなくなります。

結局受けた被害に対して賠償が無いからこのようなことが起きるのです。

これだけ気を使って放送しなければいけないことに対しても賠償を請求できるようにした方が良いくらいです。

同日の吉田照美さんのラジオでは同じく鼻血を自民党がやたら問題にしていたことを。

福島県双葉町の元町長井戸田克隆が事実だといっている、という話をし、武田教授の「隠す方向、野蛮な方向へ進んでいる」というコメントを引用。

5月13日の大竹まことさんのラジオではAKBオタクの東大生3人が登場。

官僚やテレビ局への就職を目指していいる彼らが、好きな推しの名前を絶叫するなかで、大竹まことさんがいきなり美味しんぼ事件について意見を求めると、突然聞かれてしどろもどろ。それ自体がすでにまずすぎます。

一人が問題提起としてよいんじゃないかということを言った一方で、二人は何が正しいか分かっていない時に書くのはどうかと思う、傷つく人もいるから、とのこと。

分かった時に遅かったというのがチェルノブイリの教訓であるということは基礎知識中の基礎知識です。優しさを装う理不尽がすでに自民党的。しかも主に非難されているのは井戸田町長の実話の部分です。

大竹さんが、それでは政治家が福島に住んだらどうか、と振ると、いやぁ、そこまで無理してしなくてもいいと思います。とのこと。

わかっていないから良い、ということであれば、別に住んでも良いと考えるはず。すでに論理矛盾しています。

理屈はどうでも良いから、現状を無視してのらりくらりしていたいということでしょう。社会問題について考えるという態度は皆無で、すでに老人化しています。

こういうのは新自由主義が影響していると考えています。勉強が甘い汁を吸うための道具になっていると思うんですよね。そういう面は昔からありましたが、社会が簡単に人を使い捨てる時代に、その要素が極端に強まっている。

そして吸うためには無用な正義感や問題意識は捨てて自民党的な保守に徹するのが一番です。

甘い汁を吸うために、本来もっと人として他にも振り分けるべきリソースを振り分けないで勉強して、吸っている。それ以外の存在ではないということでしょう。

知性とバランスのとれた能力を持つ有志の人を中枢に取り込むためには、人の使い捨てをやめて、それが他の多様な職業の選択の中の一つ、という中で、そのような人をうまく取り込める仕組みを整えねばなりません。

そして採用する側の課題としては既得権化からくる硬直化です。それがバランスのとれた思考する人材の登用を阻んでいます。
それを改めるためには既得権の解体が必要なのです。

思考停止をした方が得をする社会であってはなりません。

この後も美味しんぼの話題は続き、お便りもいくつか読まれましたが、実際に鼻血が出たお母さんもみている。鳥インフルエンザとかだと徹底的にやるのに、放射能だとなぜ放置するのかとのこと。といったものも。

ただ、大阪の記述のもとになったデータは知りたいですね。広域処理は、効率が悪く、燃やすと害がある化学物質が瓦礫に含まれているとか、利権で腐りきっているのもあって反対でしたが、放射能単独でどこまで害が出るか、というのは微妙でしたからね。そもそも汚染されていないところにその種を持ち込むのはよくないことですが。

同日のとべさるも森少子化担当大臣の矛盾について、とそれを無視する石原大臣の発言について。
因果関係が無いと証明できない限り言ってはいけない。野党が追及しない、ということを。

かつて新聞などでも盛んに取り上げられていたとのことで、私もそういう感覚がありましたので、このような問題にあらためてなっていることに、精神の急速な風化を感じます。

裏の荒川強啓さんのラジオでは小西克哉さんが再び美味しんぼについて。

鼻血のページの後ろを読むと、鼻血と放射の汚染を関連付ける科学的知見はありません。と書かれているが、これをテレビは報道しない、と指摘。

荒川強啓さんは定期的に政府はしっかり情報を出して欲しい、と要請。政府の情報の隠蔽や嘘はこの問題では非常に重要な要素として取り上げられなければなりません。

小西さんは、組織的な調査が必要だ、とのまとめ。

5月14日の大竹まことさんのラジオは、荻上チキさんのラジオでの美味しんぼはおかしいという解説を受けて、美味しんぼを買いかぶり過ぎていたという大竹さんの反省の弁。

聞いて疑問に思ったのでしょうけど、荻上チキさんのラジオは、原子力ムラ的な放送であったことは間違いないでしょう。

福島はもう原発の敷地以外には事故前と変わらないかのような雰囲気での放送でした。

武田徹さんは、原発は黙っていても縮小していくので再稼働をしても大丈夫、と発言。

原発反対派の人たちが美味しんぼのような作品に乗っかって原発を止めようとしている。しかしそれで本当に良いのか、受け入れられるはずが無い。検査体制の確立が大切。とのこと。

レントゲンで鼻血がでるか、というのが強調されていましたけど、レントゲンは外部被曝なので、それで福島の事例はカバーしきれないとは言えるでしょう。

これは真っ先に思ったのですが、以降の情報を眺めていると、複数の専門家がこの違いに言及しているので、科学的に妥当な見解であるという確証を得ました。プルトニウムより塩の方が体に悪い、式の詭弁による印象操作といえます。

そういったことも材料に入れない荻上さんの番組の質が問われます。

荻上さんの番組はtbsの中でも最も政府よりの番組になっています。最近の若者の権力に擦り寄る傾向が如実に出ていると感じています。

チェルノブイリとの比較が必要です。

それにしても大竹さんはあまりにも謝り過ぎている印象。そもそも疑わしいのは取り上げていくのがメディアの取るべき姿勢ですし、チェルノブイリでも鼻血を出している人が5人に一人いたという情報もあります。やはり内部被曝と外部被曝の違いなのでしょう。荻上さんの番組を聞いて、レントゲンをしても鼻血は出ない、という論理に納得してしまったのかなと思うのですけど、条件が違ってやはり比較するものとしては適当ではないと思うんですよね。

5月15日の大竹まことさんのラジオは、前日に続きかなり控えめになっている感じで、本の紹介では原子力ムラ的な本を紹介。

一方の吉田照美さんは武田邦彦さんの意見を引いて、症状があるという事実があれば報じるというのは公害の大原則であるという話を。

こういう当たり前のことが今回通らないのは「マスコミが権威に従うということ」ともっともな指摘。

環境省が基準を上げている。という部分も、事故前であれば違法だということです。

しかし、この人の意見には嘘でっしゃろと言いたくなるものも多く、しっかりとした意見を言いたいのであれば、依拠しすぎるのは良くないと思うんですよね。

情熱大陸が、脱原発派をだれも取り上げない中で、原発を懐疑的に思っている人たちはこんな感じなんですよ、というので取り上げたのが武田教授でした。

荒川強啓さんのラジオでは山田五郎さんが「誠実な表現をしている」「そもそもは原発事故の被害」と評価。「安全だったら除染する必要はない」「気持ち悪い」とのこと。

非難をする人は「風評に過ぎないという事実を示せばよい」と荒川強啓さん。

一方で新聞では「「美味しんぼ」の描写が波紋 被曝で鼻血/「福島に住んではいけない」 抗議相次ぐ」(http://www.asahi.com/articles/DA3S11131777.html?iref=com_rnavi_arank_nr03)は今までの流れまとめるだけで、意見や分析はゼロ。

休載が決まったとのことですけど、言論の敗北と言えます。

政治的な圧力があって書店で店頭に置かれなくなったという話もありますが、さらにはそのことすら報道されないのです。

なぜこのような圧力をかけるか?それは当然善意から出ているものではありません。
原子力ムラがとにかく賠償をケチって東電を救済したいからなのです。

「安倍首相「根拠ない風評に国として全力で対応」」(http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140517/dst14051715360008-n1.htm)は科学的根拠を示さないあほ発言。

5人に一人が鼻血を出していたチェルノブイリの事例でみると、因果関係があるのは明白です。

これが事実として一番わかりやすいのですが、先ほどやっていたニュースキャスターを始め、テレビをはじめ大手メディアはどこもその事実に触れません。非難していた方が悪いという結論になってしまうので、大本営発表としては扱えないのだと思います。

テレビは御用学者のコメントに依拠してそのまま流す習慣が全く改善されていないことがわかりました。ミスとも言わず反省もせず振り返りもせず再発防止策を講じないのですから当たり前ですが。本当に組織にとっても体質改善は一大難事です。この様子ではほとんど不可能とさえいえる。

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