休憩を挟んでオーケストラのメインは「新世界」!
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」
どの楽団がやっても一定以上の技倆があればそんなに変わらなさそうな曲のようですが、マニアの世界では名盤といわれる演奏があって、それは宇野功芳先生も推薦の「ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」 ケルテス&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 」。
この盤の特徴はとにかく伸びやかであること。
新世界が良くない演奏になってしまう時は力んでしまってスケールが小さくなってしまうパターンが多い。
新世界はとにかく音を開放するように伸びやかであることと、劇的な演奏効果をしっかり生かすこと、加えて構造をしっかり保つこと。矛盾しかねないこの三点をしっかり表現することが重要です。
その3つを高いレヴェルで保った盤はありそうで実際聴いて行くとなかなかないもの。飛び抜けているところが無いようで飛び抜けているのがこの盤です。
そういう視点からいうと今回の演奏はのびやかさはそこそこでダイナミックスは控えめ。
低弦など香りがあって、雅な演奏だなという感じですが、全体的に指揮の士気が低かったともいえる。
もっと命を賭けて遊んで欲しかったです。
第2楽章のイングリッシュホルン独奏が生で聴くとやっぱり良い楽器を使っているんだろうな、という感じで味わい深い音。そもそもエネルギーを必要とする楽章ではないので、テンションの低さも気にならなかったです。
この楽章は凖推薦か。
第4楽章の最も新世界らしい盛り上がりも、彫の深さに微妙に欠ける感じで盛り上がりきれない。
まぁ、楽しい曲ですから楽しいのですが。このチケット料金設定であればもっと仕事をしてほしいというのが正直なところ。
アンコールの
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第1集作品46第8番ト短調
を轟然と奏でて演奏会は終了。
会場を出ると皆口々に感想を言い合っていて「NDRは60点、ギリ合格」とか「N響と同じくらい」とかなり辛辣(?)。実際そんな感じで、皆様耳が肥えていますね。
楽しかったですけど、オーケストラにはさらなる奮起を期待したい演奏会でした。
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