2月7日林修の今でしょ講座

国内番組

は磯田道史氏による江戸の災害対策。

庶民の歴史の重要性を磯田氏が語るところですでに林先生はやや何かを飲み込んだような表情。

林先生は庶民の歴史より政治家の歴史の方が好きなんでしょうね。庶民の歴史こそが重要なのにね。

素早い災害復興と何度でも立ち直る江戸人。それを可能にした江戸人の余裕やユーモアを柱に講義していこうとしている磯田道史氏ですが、何も物を持っていなくて刹那主義だったからじゃないか、と譲らない林先生。

今私がさっと思いついた反論としては、そんな刹那主義の自暴自棄の人達ばっかりだとしたら、もっと犯罪率が高い都市になっていたはずですよ。江戸の町の犯罪率の低さは驚異的であるとされています。
江戸期の人の刹那主義的にみえる動きはかなりの部分仏教に基づいていたはずで、やはりそこには「空」と「刹那主義」の絶対的な違いが存在するわけですよ。そこを理解してほしいですね。

あと江戸後期ですが、当時の年金に当たる七分金積立ですとか、じつは老後補償がしっかりしていたからこそ宵越しの金をもたずに消費が出来たんだということも言ってほしかったですね。
これは本当にしっかり運用されていて、すぐに違うことにつぎ込んで無くしてしまう現在こそが刹那主義ですよ。

たぶん林先生は最近ありがちな江戸時代礼賛的な空気が嫌いなんでしょうけど、確かに懐古趣味的な発想だけで礼賛している人もいます。しかし、磯田氏もそう思っていますし、私が調べる限り実際に江戸期の豊かな精神性(・身体性)というものは存在しています。

中途半端に何も考えないで迎合するよりはいい番組になったと思うんですけど、結局分からないのでは良くありません。
これからの時代、私はいわゆるエリートというかすくなくとも日本のリーダーはみんな必ず江戸の精神性の長所というのもをしっかり理解しておかなくてはいけないと思っているんですよ。もちろん日本人全員が知るべきですが。

やはりこれを理解するには宗教を含めた、当時の文化遺産に親しむしかない。

感じ取る心があれば、江戸の文化遺産・芸術作品に触れていると自然に理解できるので、時間を割いて垣間見てもらいたいものです。

たしか江戸東京博物館の解説でも、安政の大地震の時はまだ庶民にも余裕があったが、関東大震災の時は無かったと書かれていますね。

また、最近の「ガリレオX 第137回 「日本刀の魅力」」では関東大震災で焼けてしまった「燭台切光忠」ついてやっていましたけど、人々が消沈しただけではなく、関東大震災は失われた文物もすごく多いんですよね。
地下に保存するとかそういう江戸期の知恵がもしかしたら失われていたのが原因かもしれない。
(記録に残っていないだけだろうとも思いますが、意外と江戸の火事で文化財が失われたという話は聞かないんですよね。(あったとは思うのでもっと調べてほしい))

関東大震災以後日本は急速に帝国主義化を強め、日中戦争・太平洋戦争に突入していきますが、そういう知恵やユーモア・余裕が失われていなければ、戦争を起こすことも無かったのかもしれません。
江戸期を捨て去った断絶はここでも罪が重かったといえるでしょう。

いわば江戸時代を否定することで明治以降の学歴エリートによる官僚支配はなりたっているわけで、そのど中心、生産者である林先生に江戸期の本質を納得してもらうことでその影響力は大きくなるでしょうね。

西洋の学問を中心として学ぶ。そこでとどまって伝統的に日本が培ってきた精神性・身体性を省みなかったことに、今の日本の思慮の浅さや無責任社会、頻発という言葉では表せないほどのモラルハザードの根があると私は考えてます。

磯田氏の今回の講義の発想は司馬遼太郎研究家としても伝えるべきところだったんでしょうね。

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