ハンナ・アレント「革命について」 大澤真幸が読む その1

http://book.asahi.com/reviews/column/2017051800001.html)は

本書は、フランス革命とアメリカ独立革命を比較し、前者はダメで、後者だけが成功した革命だったと評価したことで知られている。どうしてフランス革命は失敗なのか。フランス革命は貧困(経済)の問題を中心においたからだ。アレントに言わせれば、動物的な必要を満たすことなど政治に値しない。

とのことですけど、アメリカ独立運動はイギリスの課税に抵抗したボストン茶会事件に端を発することは有名です。

つまりやはり経済が引き金であって、その点フランス革命と変わりません。

実際に読むとその論法を覆す記述が載っているのか、それともアレントの時代の歴史的な常識は今と違ったのか、どうなのだろう。

こういうことで言えば明治維新は稀有だと思う。
明治維新の出発点はあまり話題になりませんけど、おそらく私が考えるに、西郷隆盛が勝海舟から幕閣の体たらくを聞いて討幕を決意した瞬間なのだと思う。

多少正確に引くと、勝海舟が言う「私営、小節」。つまり(勝海舟が高く評価していた阿部正外を例外に)自分の立場を離れて大きな政策を考える人がいなくなってしまった、と西郷は聞かされたらしい。(体たらくと私は表現しましたけど、今の政治を思えばかなりレヴェルの高い嘆きです。)

そういう意味で、これこそ経済を理由としない、珍しい革命だったといえるのではないか。

 ここで我が身を振り返るとひとつのことに気づく。日本の戦後体制にはこれが欠けている。日本人には、この体制を自分で創設したという達成感がない。創設の行為が生み出す権威が、戦後体制には宿らなかった。

とのことですが、今の政権を明治維新からの連続として考えれば、腐敗をしている場合ではない。

西郷隆盛は「私営、小節」どころではなく堕落した、明治新政府の腐敗を目の当たりにして心を痛めます。

そんな日本の近代の出発点を思えば、自分の立場に固執して、全体のためになる意見を言えない人間は決して政治に参画させるべきではありません。

腐敗などというのはもっての他なのです。

クリーンな政権をアイデンティティに日本人は刻み込むべきだ、というのが私の考えです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました