知恵泉の鍋島直正の回の前編は大砲造り。スタジオの豪華な鍋島焼が目を惹きます。
佐賀藩は近代化を支えた人材を輩出した、ということで、江藤新平・大隈重信など人材を列挙。
大木喬任は東京を日本の中心に位置付けた、などと現代では克服されなければならない一極集中のもととなったような業績もあり、時代に合わせて受け取らなければいけませんし、結局は藩閥の一角を占めていた、からこそできたことですが、それでも多くの人材の輩出したとはいえるでしょう。
これはやっぱり鍋島焼をやっていたことが大きいのではないかと思うんですよね。西洋で初めて作られた磁器は、1709年のザクセン公国のアウグスト強健王が錬金術師ヨハン・フリードリッヒ・ベトガーを幽閉して作らせたものですが、つまり錬金術=化学的なものだったといえます。
磁器生産の科学性や、海外を相手に商売をしていたことが、非常に大きく影響しているでしょう。
お話の大砲造りでも、鍋島焼の耐火煉瓦が状況を打開。
また、鋳造の責任者が失敗続きで切腹を覚悟したときに、それを止めて、原因追及を促した話を引いて「責任追及よりも原因究明」とクレジットを打っていましたが、これだけの責任感でやっているからこそ責任を追及しないでうまくいくのであって、現代の腐敗による失敗で責任を追及しないで原因を追究しようとしても失敗するばかりでしょう。
こういった教訓話のすべてに言えることですが、あらゆる諸条件があって、この場合では原因追及が最善だったという話で、あらゆるケースに当てはまる話ではありません。観る方はそれを前提に観なければいけませんし、放送する側もそのようなものである、と安直に視聴者に受け取らせないような工夫をするべきでしょう。それの逆にあらゆるところから教訓の種になりそうな話しを探してきて、そういった話として放送しているような印象も受けますが。
と、原子力ムラの中核を構成するNHKの番組としての、おかしな偏向も感じるのです。電力債も保持している、NHKは内外でろくに責任追及をしないばかりか、罪深い放送を重ね続けていますからね。
知恵泉の鍋島直正の後編は蒸気機関車。蒸気機関車は蒸気船などと同じく、当時欧米でも実用化されたばかりであって、ペリーが持って来た小型のも実は精いっぱい頑張った威力外交なんですよね。それを外から観ただけで1855年に造り上げるというのは本当に最先端の偉大な業績だと思います。
また研究者が言うには藩祖鍋島直茂の、下々ほど骨を折るのだ、そのことをを忘れるな、という遺訓があったから、技術者たちをかばい・ねぎらうことができたのだ、とのこと。
直茂は中間管理職的な時代が長く続きましたから、現場の苦労というものが身に染みていたのでしょう。
また、佐賀藩は人材を損なわなかった、藩論が分裂するようなことはなかった、ということが強調。
他藩と比べるとそれは顕著で、こういうのをリーダーシップというのでしょう。
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