「金スマ」のザ・ベストテンの回を観ましたけど、二人とも速いですよね。史上最速の二人ではないでしょうか。
何でもかんでも昔のほうが遅いイメージがありますが、音楽などでも、最古の録音などを発掘していくと意外と速いのだとのこと。
オーケストラでもノリントンはクナッパーツブッシュと比較して、速さで自身の現代性を強調していましたけど、ニキシュや戦前のフルトヴェングラーの指揮と比べて彼の指揮が突出して速いとは言えないでしょう。ベートーヴェンやモーツァルトの時代はさらに速かったという説もあります。
番組もどんどんテンポが速くなっているようなイメージが勝手にありますが、このころのほうが圧倒的に速いですね。
のりの良い番組で、ピーコさんが「久米は薄っぺらい男」というのは、このころのことを基準にいっているのでしょう。抜群の切れです。
最初は徹子さんにもう一人の司会が決まらない、と制作側が相談するところから始まりましたが、今だったら事務所の力学などで勝手に決まるんだろうなぁ、と思いました。そういう意味では純粋な時代でもあります。番組の観客などからも、全体的に今みたいにがんじがらめではない社会の雰囲気が伝わって来ます。
私は徹子さんというと中村八大さんと仲が良かったイメージがあったんですが、久米さんとも仲が良かったんですねぇ。
徹子さんが人種差別発言を悲しみながら嗜めた部分が映りましたけど、今のネット右翼を見たらどれだけ悲しむか。ぜひ嗜めてもらいたいと思います。
久米さんは極秘でやめて、みんなをかわいそうな形で切って、Nステを始めるわけですが、久米さんはニュースステーションをやる必要はなかったんじゃないですかね。江川とか桑田みたいで、後味が悪いですよね。
ベストテンは情報番組だと思っていた、と語っていて、報道要素もあったみたいですが、バラエティの中でそういうものをちりばめていくぐらいでよかったんじゃないですかね?
28年ぶりに二人が揃った、と番組中いっていましたけど、企画があっても、久米さんが来ないから揃わないんですよね。せっかくの番組なのに、何か少し薄情な感じがするんですよね。
久米さんは山田さんに謝るのを忘れていた、と言っていましたけど、これもやや薄情だから謝らなかったのではないでしょうか。
山田さんは若くして亡くなってしまったわけですけど、胸が痛いです。
この決して情に流されないのは久米さんの偉大なところで、政治家とべたべたするようなことはなく、必ず一線を守っていました。筑紫哲也などとまはまさに月とスッポンで、そのせいで、NHKに10時台にニュースをぶつけられ(http://ja.wikipedia.org/wiki/NHK%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B910)、トヨタにスポンサーから降りられ、経団連からプレッシャーをかけられ、テレ朝の社長から苦言を呈され、揚句に番組が終了するとほぼ嘘をつかれて降板させられるわけですが、個人としてはしっかりやったといえるでしょう。
ただ、久米さんがずばずば言って圧力を受けてしまったので、さらにほかのキャスターは物が言いにくくなってしまったのではないか、という観方も聞いたこともあります。
現代ではテレビは嘘ばかりついていて、古舘さんは制約の中でも比較的跳ねのけているほうだと思うのですが、大体全滅といったところでしょう。
大竹まことさんも政治家との距離の取り方の難しさを嘆いていましたけど、そういう意味で久米さんは完璧で、良い意味で薄情なのですが、情が厚くて流されない、というのがもっと理想だとは思います。
ベストテンは徹子さんの、ランキングに嘘はつかないでください、という条件で始まって、それはずっと守られたとのこと。なので尾崎豊やBO??WYなどテレビに出ないバンドが人気になると、だんだん下火になってきたとのこと。現代だったらこういう人たちのランキングを操作して意図的に下げて、何もないようにやるのでしょうけど、この番組はそれができなかったのでしょう。
テレビに出ないというと、最初に映った中島みゆきですとか、もしくはかつてのフォーク系の人たちが思い浮かぶのですが、こういった人たちも出なかったんですねぇ。
しかしこの人たちは、今は普通に音楽番組に出ています。一時のファッションだったのか、もしくは尾崎のいじけた感じに引きずられていたのではないですかね。
ベストテンは正直だった、テレビとはそういうもの、という徹子さんのコメントで番組は終了。正直であれば、テレビにも可能性があるのではないか、とのこと。
テレビに対する提言が徹子さんのほうから出てきたのが不意を突かれましたが、普段思われるところがあるのでしょう。
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