クリスマス・オラトリオはバッハが50を過ぎた頃に書いた、明るいクリスマスっぽい曲です。名前の通りクリスマスから顕現節までの祝日の為に書かれたものですが、とはいっても特別に作った所も有りますが、旧作の転用も多いのだそうです。
これは超高濃度の音楽が込められたCDです。ただ、リヒターの演奏は逆にバッハが聴きたい時にはどうも手が伸びない演奏でもあります。リヒターのこのCDであるとかバックハウスのイギリス組曲であるとか、その演奏自体に込められた芸格は別として、バッハ本来の楽しみとは若干質が違うと思います。
アニマル浜口の微笑みのような演奏・・・というのは嘘です。冗談です(笑)気難しい文学者がたまに雪合戦に興じているような演奏です。
第十曲のシンフォニアを始めとして荘厳な様は筆舌に尽くし難いです。ウンダーリヒを筆頭にソリスト達も強い魅力を放っていて、否が応にも凄いキャストである事が伝わってきます。当然ながら喉に強く引っかかるような人は一人も居ない、澄んだ美しさが有ります。
演奏を聴く時はバッハの場合僕は音量を絞る事が多いのですが、リヒターの演奏は音量を上げて聴いた方が楽しめる様な気がします。バッハの心を伝えながらもロマン的な演奏だからかもしれません。
明るく、そして音楽が凝縮されたCDです。
コメント