渡邉暁雄指揮日本フィルハーモニー管弦楽団/シベリウス交響曲第七、六番

#その他音楽

渡邉暁雄さんはかつて長年日本フィルを率いていた名指揮者で、シベリウスの交響曲全集が発売され(て図書館に配備され)たので、ぼちぼち聴いていこうと思います。
渡邉さんは日本とフィンランドのハーフで、シベリウスには深い愛着が有った様で、1962年に日本フィルと出したシベリウス交響曲全集は、世界で初めてのシベリウスのステレオの交響曲全集だったと解説に有ります。今回はその後の二回目の全集の新装再販の様です。
そういえば井上道義もハーフ(父がドイツ系アメリカ人)で良い感じの指揮者なので、日本にはハーフの音楽家の伝統の様なものが有るのかも知れません。

私はシベリウスの曲の中では七番が一番好きです。峻厳にして内容溢れるこの曲はシベリウスの中でも傑作の一つだと思います。
シベリウスと言えばベルグルンド、と言う事で文句無しの組み合わせですけど、ヘルシンキフィル版しか聴いていないのですが、不満点が全く無いと言うわけでは有りません。
一つは、シベリウスが伊福部昭さんを絶賛したのは有名な話ですが、根っこに似た様な大地性が流れているからシベリウスは伊福部さんを評価したのではないかと私は思っているんですよね。それを考えるとベルグルンドのシベリウスにはちょっと土臭さが足りないと思うんです。
渡邉暁雄版の七番は結論から言うと土俗的な迫力はかなり出ていて、雄大な所が多くて良い演奏でした。18:00以降の壮大な美しさはベルグルンドより上かもしれませんし19:40秒辺りのヴァイオリンの囁きも見事です。ただ全体を聴きますともごもごしている所も多くて、あと一息と思わせる部分も有りました。

続いて聴いた六番は七番より明らかに良く感じました。出だしの神秘的な沈潜の仕方が良いですね。この第一楽章の出来は本当に見事です。表現が鋭くて素晴らしいと思います。
さっきも言いましたけどベルグルンドは表現のちょっとつるっとした所が不満で、その欠点は6番で更に強く感じていた物なのですが、渡邉さんの指揮は力強く、シベリアの森に強雨がぶつかった様な演奏で、素晴らしいの一言です。個人的にはもっと厳しくても良いと思う所も有りましたが、ベルグルンドと違うアプローチで近接する芸術性を示しているといえます。
それにしても、ヘルシンキフィルを振った事が有るそうですけど、それは聴いてみたいなぁ。

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