原智恵子 ショパン作曲ピアノ協奏曲第1番 渡邉暁雄指揮日本フィル

#その他音楽

原智恵子はちょっと前にふしぎ発見にも取り上げられて、最近注目されている人です。波乱の生涯を送った人ですが、その人生が日本で人気が有るのは、実力に比して評価されない時間が長く続いた事と関係が有るかもしれません。私は片山さんの文章で知ったんですけど、一聴して、芸に打ち込む人は主流になれないことも多いんだな、という感想を持ちました。
原智恵子のピアノは凄いの一言に尽きます。感情豊かと言うよりは劇的なピアノで、品が有るのに音符が躍動して聴こえるのは解釈を綿密にしているからだと思います。
スケールを弾いているだけで凄い表現力を発揮していて、下降する時のスーッと落ちて行く所であるとかとても素晴らしいです。
緩徐楽章の表現もとても繊細なのですけれども、どこか勁さを感じさせるのが不思議です。芯の有る演奏とはこういうものを言うのだと思います。
渡邉暁雄の指揮も特有の暗くてちょっとおどろおどろしい感じがでていて、渋くてなかなか魅力的です。所々シベリウスに聴こえてしまうのは偏見でしょうか(笑)
ショパンの協奏曲は最後の拍手がかなりフライング気味で、最後の音と被さる位なんですけど、これは聴衆の熱狂の発露と見るべきですよね(笑)
子供の領分も素晴らしいんですけど、流石に成熟し過ぎかなとも思いました。一方でSP復刻のショパンのスケルツォ第2番は端正さが時に歪む攻めの演奏で、表現に溢れていてこのCDの白眉だと思います。
凄く個人的な感想ですけど、日本のクラシック音楽界のピークの一つは1930年代にあったと思います。その頃の残花を伝える儚くも貴重なアルバムだと思います。

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