シベリウス歌曲集 トム・クラウセ

#その他音楽

シベリウスは晩年に30年位にわたって作品を発表しなくなりましたが、それまでの間にはコンスタントに歌曲を作っていたそうです。
これは結構良いCDだと思います。全曲に亘ってデリケートな寂寥感がありますが、感情に流され無い心もまた、残っている感じなのが良いです。シューベルトが若者の歌だったら、シベリウスは中年の歌と言えるかも知れません。1、2分の短い曲が多くて個別に感想を言う気にはならないのですが、敢えて抜き出せば12番の「口付けの望み」(日本語だと?恥ずかしい題名)がなんともいえない叙情性と変化があって良かったです。近代的なのに現代音楽っぽいところが皆無なのも私には嬉しいです。詩は色々な作者の物を使っていますが、どれも中々良い感じです。
バリトンのクラウセは非常に素晴らしく、渋くて表情豊かでクラシックの歌唱法のマイナス面を感じさせない歌い方です。彼は医学を学んでから歌手になった人だとの事で、そういう所が歌に生きていると思います。ピアノの世界は表現の視点から見るとやや不作気味だとも言われていますが、他の経験を積んでからスペシャリストに成る事が難しいのが一番の原因なのかもしれません。
私は寡聞にもこのCDについて評価を聞いたことが無いのですが、もしマイナーなCDだとしたら、それでは勿体無い内容があると思います。

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