J.S.バッハ マタイ受難曲 鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン

#その他音楽

つるっとしてしっとりとしたバッハです。一見矛盾しているようですが、稲庭うどんの様だ、と例えれば纏るかもしれません(^_^:)激した所が無く綺麗で、微妙にチェリビダッケの音に似ている様な気がします。

バッハコレギウムジャパンが世界的な名声を得ている背景には、日本の調和志向の精神とバロック音楽の精神が似ていることがあるのではないか、というのは評論家の鈴木氏の文章の一節として有名ですが、もっと言うとその調和志向の精神の由来は神道にあるといえると思います。
滅茶苦茶話が飛びますけど、日本の禅は中国の禅と違うんですよね。日本に禅を持ち込んだ一人である道元がそういうことを宣言しています。また鈴木大拙は禅を含む鎌倉仏教というのは、仏教というより上代から続く本来の日本的な霊性が仏教の形を借りて花開いたものではないか、という事を仰っています。つまり日本の禅というのは、日本的霊性≒上代神道、の影響が強いのです。だから禅を学んだチェリビダッケの演奏とバッハコレギウムジャパンの演奏にどこか似たような所がある事には、ある程度の必然性があると思うんです。

日本人の演奏の宿命として、神への祈りを感じない、とかそういう批判を受けることも多い演奏ですが、私はそんなことは無いと思いますし、例えば終曲のCD3のトラック26は実に厳かで霊的です。他にもCD2のトラック39には、息を呑む美しさとほのかな優しさがありますし、CD3のトラック7も迫力があってかつ、澄んだ美しさも残っている所が良いです。
自然な美しさが主体の演奏で、肩肘張らずに、気楽に聴けば聴くほど楽しいCDだと思います。

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