歌の調べのように 水谷川優子(チェロ)

#その他音楽

その昔(今も?)Jクラシックという(一部の指摘によれば、恥ずかしい名前の)分野がありまして、ヴィジュアル系の演奏家が名曲を集めてCDとして売って、かなりの売り上げが有ったそうなのですが、何番煎じと繰り返す内にだんだん売れなくなってしまったのだそうです。
内容が無い演奏も世の中多いのですから、最低限外面を保障してくれる(顔云々もですが、ジャケットが鮮やかだったりします)そういう現象は私は嫌いでは有りません。それに内容は玉石混交で素晴らしいものも有りましたし(格違いですが、庄司さんも入っていた)、若手の育成にも一役買ったそうです。
このCDもそういうものの一つに分類出来るかと思いますが、私にとっては玉の部類に入ります。

推薦文を日野原重明さんが書かれていて、「これまで聴いたCDの中でも最高の一つ」と賛辞を捧げられています。日野原さんは気取らない所が良いですよね。この前も、朝と昼はクッキーですが、それでも夜をしっかり食べて全体のバランスを取れば長寿食です、と医師らしくないと言うか、忙しい医師らしいと言うか悩むコメントをされていました(笑)

奇矯な表現が無ければ、ただ口当たりが良いと言う訳でもなく、まことに聴き易いCDです。
北国の情緒の深いおばあさんにチェロの高い技術を持たせたら、こんな感じの演奏をするのではないか、というような想像をさせます。
「誰も知らない私の悩み」という黒人霊歌を元にした曲が素晴らしかったです。思わず何度も聴いてしまいました。もしかしたら苦悩が内包されているのかもしれない、優しいメロディで、伴奏のピアノの循環コードが彼岸に向けて漕いで行く舟のリズムのようです。
同じく黒人霊歌の「アメイジング・グレイス」も侘びしい歌い方が、良い雰囲気でした。

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