伊福部昭の芸術3 舞踊音楽の世界

#その他音楽

この前やや遠い町の図書館の検索をかけたら「伊福部昭の芸術」シリーズが4まであったので、喜んで借りてきました(笑)取り敢えずは音楽祭の予習を兼ねて3枚目のサロメを。
バレエ音楽ですから、伊福部流のリズムを内包しつつも、音楽が独走する事は無く、なにか常に盛り上がる寸前で旋回を繰り返している様な印象を与えます。
早坂文雄風に聴こえる所も有りますが、音の背後にあるのは早坂風の洗練ではなく、何か巨大なもので、敢えて例えるなら龍が化けた黒雲のように感じられます。
トラック9の<ヘロデ、サロメ、ヘロディアス>の争いの場面が一つ目の山場ですが、打楽器・金管が控え目でヴァイオリンが主体の、不気味さの中に鋭い切れ味がある音楽になっている所が、常と微妙に違います。
サロメは話がエログロの極みで場面転換も多いので、何時チャイコフスキーの悲愴の様な脅かしが有るかも知れないと身構えていたのですが、無くて良かったです(笑)とはいえ、トラック24とか背後のヴァイオリンのオスティナートが何かの警報の様で心臓に悪いです。
「兵士の序曲」は初期の曲の一つで、急に伊福部流のSF映画音楽風の世界に戻って来たのでほっとしました。端正で基本過ぎる位に基本の世界です(笑)
戦時中に書かれた曲で、NHKに提出されたものだそうで、威風堂々としています。やや弁解風に、当時の陸軍に突然拉致されて合唱の指導をさせられた事を例に、陸軍の「強引で乱暴」な様を仰られていますが、本当に大変な時代なものです。現代の省庁には帝国憲法下での有り様からの連続性が濃く観察されるといいますが、直接の繋がりが無くとも気質を強く継続している省が有るようです。

宇宙飛行士の土井さんがゴジラのテーマを宇宙でのモーニングコールに採用されたようですね。荒川強啓さんの「伊福部昭さんの曲が宇宙に鳴り響いたわけですね」というコメントがナイスです!世界の中村八大、宇宙の伊福部昭といえましょう。

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