東京藝術大学美術館 特別展 皇女たちの信仰と御所文化 尼門跡寺院の世界&芸大コレクション展 春の名品展

#その他芸術、アート

行って参りました。
最近まで行く気は無かったんですが、女性と仏教というのは抑えておかなくてはいけない所ですし、こういうテーマの展覧会は多くは開かれないだろう、と終了直前に惜しくなって、駆け込んで来ました。

しかし、お寺なんですけど、皇女ですとかが、押し込められるお寺だった様で、ちょっとしんみりとしました。気晴らしのためかカルタとか双六とかお人形の展示物が多かったです。
お経や念仏を映像で流していましたが、何故かどこか陰々滅々とする感じでした。
仏教は地の宗教、キリスト教は天の宗教といわれますけど、女性は空を向いているお花みたいな所がありますから、仏教は基本的にあんまり合わないのかも知れませんね、、、。
この展覧会を観た後に、ムハンマドの伝記を読んでいたんですが、イスラームには修道院が無い、ということが誇らしげに書かれていて、その意味が身をもって感じられました。

といっても積極的に仏教仏教していた尼さんもいたようで、「徳巌理豊尼自画像」が色白ですっとしたいい雰囲気でした。
とはいえ、仏教の華はありかたそのものが必然的に導くような論争で、鎌倉新仏教の人たちですですとか、面白いですけど、そういうのが無いと仏教っていう感じがしない所もあるんですよね。
最近も臨済宗の夢窓国師が書いた夢中問答集を読んでいたら、教学をちゃんと勉強しないと人に仏教を伝えられない、ということがしつこく書かれていて、辟易したんですが、これは坐禅を専らにして自分を高めることで、会って無言のうちにも人を導く。語録・公案は要らない。という事を言っていた曹洞宗の道元へのあてつけではないかと思います。
こういう論争の向こうに、人のかたちの様な物が透けて見えてくるのが仏教の魅力のひとつで、良いお坊さんかどうかということと、直接の関係はないですけど、女性でこのような舞台に出てくる人が出て来たら良いですねぇ。

「無外如大尼像(レプリカ)」ですとか、いくらなんでもみんな胸が無いんですが、女性というよりは、お坊さんとして描かれているということでしょう。女性が女性のまま出家する、という伝統がもっと必要だと思います。

色々ですが、相対的に生活は良かったでしょうし、華道とかも盛んだったようで、女性らしい文化の香りがしました。もちろん女性のお客さんが多く、これからということだと思います(^^)

春の名品展は「菩薩立像」(白鳳時代)が見事な作品。良く見ると左に僅かに傾いていて、そのしなだれかかるような全身の崩れ方の描写が、良かったです。

仏画の「阿弥陀三尊来迎図」や「地蔵菩薩像」は相変わらず怪しさの極み。仏像より仏画の方が、当時の人の仏教に対するイメージが良く伝わってくるのですが、その、画面から出てくる異様な存在感に驚きます。茶系の表具に濃紺一色の背景の前で、やたらと光っています。

山本豊一の「子供」は遠目ではてっきり薮内さんの作品かと思ったんですが、違う子供でした(笑)

尾形乾山の「銹絵染付山水図鉢」は丸い皿に雄渾な山水が描かれた、どちらかというと仁清の様な艶めかしさがある作品。

安易に言葉には出来ませんが、個性のある展覧会でした。非常に良い企画で、やっぱり、携わられた方はありがとうございました(笑)

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