鍬形蕙斎の「江戸一目図」は江戸を俯瞰で描いたもので、当時とても流行ったのだそうです。視点の自在さが日本画の一つの特徴だと思うんですけど、蕙斎は特に際立っています。
歌川国貞の「両国川開図」は船頭さんの姿が格好よいです。
長谷川雪旦(下図)、雪堤(画)の「高崎屋絵図」は商店街の黒塗りの壁の並びが豪奢です。
雪旦は名所図会の絵師で、地図を描く人ですから、商業的な写実といえるでしょう。
蓑虫山人の「安房国鋸山之図」は富士山。「岩代国磐代山之図」は猪苗代湖を描いているのですが、なぜか周囲の人や家は中国風。当時の日本人の感覚を結構反映しているのだと思います。
なんでも、蓑虫のように画材を担いで放浪していたようです。
絵も朗らかな明るさと共に、守拙の美学を感じさせるもので、板橋に固有に生息する珍品画家といえるでしょう。
「事件」の部の展示では、震災の影響で展示を慮った作品が多かったとのこと。そう考えると「五百羅漢図」は安政大地震の惨禍が反映されているのが明白でしたけど、明記されていないから大丈夫でしたかね?
羽川藤永の「朝鮮通信使図」は盛大な行列で赤い幕が張られていたり、往時の外交を偲ばせます。お互いを饗応しあうような形で、現代に復活させても良いくらいかも?!
長谷川雪堤の「火事図巻」をみていて思いだしたんですけど、この前「世界まるみえ!」でアメリカ人が一番信頼している職業は消防士だ、ということをやっていたんですよね。意外と江戸のメンタリティに似ていますかね!?
貴志孫太夫(模写)の「プチャーチン以下露国船来朝戸田浦にて軍艦建造図巻」はロシア船が難破したのを助ける図で、推定M8.4の大地震による津波を食らったのだそうです。噂の東海地震ですね。
最後の「博物趣味」の項目はほとんどが冊子。美術展に取り上げられないだけで、この時代は写実ばっかりやっていたのでは、という気にもなってきます(笑)
ただやっぱり、博物的な絵は感動を呼び起こすという感じではなく、感想もあんまりでてきません。いわゆる「写意」による作品化の、上手くいった時の偉大さも感じます。
高橋由一のキンメダイという珍品があって、展示解説の吹き出しのキャラクターとなっており、「鮭」の先駈けであると主張しています。
写実で外せないのは秋田蘭画で小田野直武の「鷺図」は広重調の遠近の構図と西洋画の手法が溶け合っています。なんとなく「塩とたばこの博物館」でみたバタヴィアの図に空気感が似ています。
中島仰山は徳川慶喜に油絵を教えた人らしく、その「うみがめの図」は国立科学博物館所蔵のこれまた珍しい作品。
当時の博物ブームの力強さを感じると共に、仙厓さんの博物好きがかなりブームに乗ったものであるな、と確認しました(笑)
海といえば、5月5日のANNは潮干狩りなどお疲れさまでした。
砂の下から撮る方法は、何か引っかかれているようでくすぐったかったです(^_^;)市川さんにとって貰ったあさりの嬉しさを追体験できる感じでした!
青い衣装が鯉のぼりそのもののような清々しさで、原発が停止する日を祝福していたと思います(勝手
ああ、今夜は月が綺麗ですね。
しかし海底の瓦礫のニュースは怒りが抑えられないものです。瓦礫処理であれだけ大騒ぎして広域処理を強行しようとしたのに海底の瓦礫は放置されたままで漁師の方々は漁業を再開することが出来ません。
どこもかしこもどうしようもない所にお金をつぎ込み必要な所には流れず社会が血行不良を起こしています。自壊に近く、日本人としてはとてもやり切れません。
板橋区立美術館は相変わらずコンセプトが強力で勉強になりましたし、楽しかったです。ありがとうございました。
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