たばこと塩の博物館 「いっぷく」を彩った工芸品 たばこをとりまく脇役たち その4

#その他芸術、アート

行って参りました。

このたび当博物館は三洋証券創業者の土屋陽三郎氏の煙草工芸4000点のコレクションを引き取ったらしく、それのお披露目の展覧会でもあります。やはり個人が集めたコレクションというのは一味違っていて、みていて楽しいものが多いです。コレクション誕生のきっかけになったヴェネチアングラスの灰皿、というのが一番最初に飾られていましたが、クリムトの絵画を思わせる蠱惑的な造形。魅力を感じた部分が伝わってきて、コレクターと対話しているような気分にもなります。

当時はマッチが自然に発火しかねないものだったらしく、厳重に燃えない箱の中に入れられていたらしいのですが、その中に大砲型のマッチ入れがあり、あぶなかっかしさが増幅して、みていて心拍数を上げさせるものがあります。

武器ものは結構あって、フランス革命記念のギロチン型の煙草切りがありましたが、ちょっとヨーロッパの趣味の悪い所を感じます。

フランスでは「男女図磁器製灰皿」など、鮮やかな青の発色が素晴らしく、ガレなどの一連のガラス製の灰皿も素晴らしかったです。

「ボヘミアンガラス製シガーホルダー」も非常に精緻で清々しい出来栄え。

「鶺鴒蒔絵シガレットボックス」「貝尽くし蒔絵シガレットボックス」など、日本の漆工芸の深みは中でも非常に目立っていたと思います。
「竹図会津塗煙草セット」「花文会津塗煙草セット」なども、品よく輝かしい仕上がり。

下階の浮世絵展では国貞の「洛陽をはらめ」が荷物を頭に乗せて一服する格好よい作品で、こういう大原女もいたのでしょうか。

ここの展示全体としては九代目市川団十郎特集で、江戸時代の間などではへぼだという評判で、四代目中村芝翫から、何であんなへぼがやる舞台に脇役で出なければいけないんだ、というような事を言われたり、観衆からも不評だったとのこと。

明治になってからの劇聖扱いしか知らないので意外でしたが、明治になって良くも悪くも新境地を開いていったのは、旧世界の歌舞伎で必ずしも評価されなかったのも一因なのかも知れませんね。

このたびたばこと塩の博物館は墨田区に移転するらしく、近くでお塩などに凝っている人は買っておいた方が良いかも。特にインカの塩とシチリアの岩塩はお勧めできますので、どうぞどうぞ。

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