プレミアム8 華麗なる宮廷の妃たち「エリザベス一世 ~鉄の女が恋するとき~」

関連する時代ということで「プレミアム8 華麗なる宮廷の妃たち「エリザベス一世 ~鉄の女が恋するとき~」 」を視聴完了。

救貧法を制定するなど、福祉の充実を図った功績を紹介。恋愛の中で国民を愛せば裏切らないで戻ってくることに気が付いたのだろう。国を愛することが国民を愛することにつながったのだろう、とのこと。

いわゆる、ならず者が逃げ込むタイプの愛国者が、いかに国を愛していないかが逆説的にわかります。

恋愛遍歴の中で一番強調されていたのが、ジェーン・グレイの結婚相手の弟であるロバート・ダドリー。処刑寸前だったのにもかかわらず、ここでは返り咲いています。

舞台のコラムの6回目には「さらに驚かされるのは、のちに3家とも宮廷社会に見事に返り咲いていることです。」とありますけど、宮廷社会って、そうなんですよね。

「ワイルドスワン」とかにも、文化大革命で共産党員の一部が苦境に立たされている時でも、共産党の幹部はいずれ返り咲くだろうから、という庶民の声があり、実際戻ったみたいですけど、何か貴族社会には、一見悪くなったように観えても、特有の元に戻ろうとする力のようなものが働くのでしょうね。

治世の前半と後半で国の印象が全く違うのが印象的。大分富みましたよね。

メアリー1世の治世くらいまでは、おもしろいところはあるものの、血なまぐさい辺境の国といった感じも。世界とはつながっておらず、本当に島国、という感じです。

植民地をたくさん抱えているスペインはさらに富んでいますが、イングランドなどにもいろいろな経路から経済的な波及効果は押し寄せているのでしょう。

良く東西の文化の違い。科学や制度について語られますけど、大体は、植民地から富が来ているから、ということで説明できてしまうんですよね。

東西の文化的な違いをもって並列的に論じられるのは、イングランドではエリザベス朝の手前までだな、という感じ。
そういう意味でも、舞台は面白い時代なのかな、という気もします。

番組はプロテスタント側の干城になっていたイングランドが、カトリック側のスペイン無敵艦隊を破ったところがクライマックス。

こうやってみると、ヘンリー8世の暴挙が無いと、イングランドはプロテスタント化していないわけで、宗教改革自体が成立しなかった可能性もかなり高そうなんですね。

宗教改革は知識革命でもありました。「宗教改革派が求めたものは、中世的な生活システムの積極的な改変」(「宗教改革の真実」((講談社現代新書)永田 諒一 (著))だったとのこと。

エリザベス1世がヘンリー8世の中世からの脱却を完成させたのだといえましょう。

最後の、すべてを見て聞いて統治してきたということを表した、耳と目をあしらった服を着た肖像画も印象的。広く情報を集めるのが得意な人だったんでしょうね。

また、上の本には興味深いエピソードが載ってます。

ドナウヴェルト市という市では、プロテスタントのカトリックへの攻撃を抑えることが出来ず、「アウクスブルクの和議違反」で「帝国追放」を申しわたされ、法的権利を失ってしまい、近隣のバイエルン公に併呑されてカトリック化して、自由都市として崩壊してしまったとのこと。

内部の偏狭な動きを抑えることが出来ず、国際的な信認を失ってしまい、結果他国の干渉を招くことになる。なんとも現代日本にとって身につまされる構図といえるでしょう。

最近は安倍の史観のことを「自爆史観」と呼ぶそうですけど、わかりやすい。このような未来が透けて観えざる得ない史観なのです。

一方でエリザベス1世は国内のカトリックとプロテスタントを宥和させ、国民をいたわる内政を布き、イングランドはどんどん繁栄していきます。

エリザベスの治世の現代的意義、はこのようなところにあるでしょう。今の日本に語りかけているように思われてならないのです。

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