曲目はと奏者は
ピアノ三重奏曲 変ロ長調作品97”大公” ベートーベン作曲
三重奏曲 変ロ長調作品11”街の歌”から第2楽章 ベートーベン作曲
楽興の時 第3番 シューベルト作曲
バイオリン:ウェルナー・ヒンク
チェロ:フリッツ・ドレシャル
ピアノ:ジャスミンカ・スタンチュール
とのこと。
演奏は滋味あふれるといって良いもの。
強奏はなく、ベートーヴェンとしてはどうなんだという意見もあるでしょうけど、これがいわゆるウィーン情緒なのでしょう。
逆に言うと、そういう世界が消し飛んでしまうので、圭角立った演奏は排除されてしかるべきなのかもしれません。
それが一つの文化であり演奏世界だといえるでしょう。
ニュアンスという以上に雰囲気に語らせる演奏で、一番若そうなピアノのジャスミンカ・スタンチュールも澄んだ演奏でその世界によく溶け込んでいます。
第一楽章コーダの強かに飛翔するような音楽を主導していたと思います。
第2楽章はワルトシュタイン冒頭を髣髴とさせる低音の連打が始まったかと思えば、ゆったりした中間部に。
優雅におどけるチェロが印象的。
第3楽章は力の抜けきったヒンクのヴァイオリンが主導する、瀟洒な語り合いが聞きどころ。
何も匂わないわけですけど、嗅覚を刺激される演奏です。
第4楽章はピアノの速いパッセージが続く楽曲で、ベートーヴェンの情熱的なリズムを感得させられます。
ピアノは力強くも透明な音色。曲の性格から言うともっと荒々しくて良いのかもしれませんけど、チームとしての兼ね合いがあるでしょう。
ピアノと弦楽器を調和させるベートーヴェンの技には感心します。語り合いのようなところが多くて音が被らなくて魅力を引き出し合っているんですよね。
いい味でしたけど、こういう性格の楽章は流石にもっといけいけなやり方の方が曲に合っているかな?
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