最終展示期間は蕪村の三横物といわれる作品がそろい踏み(適当に行ったら偶然だった)。
「与謝蕪村 筆 峨嵋露頂図巻 一巻 紙本墨画淡彩 江戸時代・18 世紀」は深夜の岩山。雄大な奇観が人知れず世界の底に置かれているような、独特の趣があります。
飛び抜けて有名な「与謝蕪村 筆 夜色楼台図 一幅 紙本墨画淡彩 江戸時代・18 世紀」は深夜を描いていますが、ただ真っ黒に闇を塗り込めるのではなくて、空に不規則な濃淡があるのが印象に残りました。
暗夜の雲の目視不能な巨大さが表現されていると思います。
そして塗り残された部分がとてもきれいで、雪の光が印象的な作品。
交友が確認されていない二人ですが、この蕪村独自の背景を黒で塗り込める手法は若冲を参考にしたのではないか、とありました。
ほぼ絵に絞って蕪村を追いかけたところがとても面白い展覧会です。若冲とのバランスでこういうことになったとカタログにありました。
「伊藤若冲 筆 石峰寺図 一幅 紙本墨画 江戸時代・寛政 3 年(1791) 京都国立博物館」は五百羅漢の完成図案。個性豊かな羅漢たちが、精神世界の深みを様々な角度から照らしていて、大きな曼荼羅を形成するような計画だったのがわかります。
ヴァラエティに富んだ素晴らしい作品のオンパレードで、更に解説によって二人の人生が浮かび上がるように感じられました。
絵そのものが素晴らしいのは当然としてその大量の絵画の向こうに薫る、二人の進取の姿勢でありユーモアであり洒脱な交友関係であったり心技体の向上心がとても心地よい展覧会でした。ありがとうございました。
コメント