は官僚の発言がおかしい、ということですが、前川氏の告発が出たタイミングでこの導入の特集。
確かに毎日のように官僚のおかしい発言はありますが、今おかしいのは、主に首相近辺の発言だろう。政権と一体化しているメディアの阿りが透けます。
内容は前川氏の証言を基礎に、官僚主導から政治主導に至る歴史を紹介。
90年代のは大蔵省の接待問題以上に、バブル崩壊の監査の甘さなどが主な引き金でしょう。
TBSはやりませんけどグリーンピアもありましたし、近年では消えた年金もあります。接待のような国の運営からすると枝葉にも感じられるスキャンダルでこのような流れが起きたのではないことに注意したいです。
それは深刻に反省されねばならない出来事です。
テレビは官僚に管轄されている記者クラブメディアです。何か事件があった時に本質を隠して「スキャンダル」化して矮小化して伝えるのは一つの常套手段ですね。
特集をみていると小泉政権までは政治主導への移り変わりという風に伝えていたのに、そこから先はいつの間にか官邸主導という言葉にすり替わり同じ意味で使っています。これはまるで違うので問題です。
官邸の意思決定はどうなっているのか。政治主導と官邸主導の違いを調べるのが本来のメディアの仕事ですが、官邸とまさに一体化しているのでその内情をテレビが調べることはありません。なので、官邸主導という外側からみた場合のぼんやりとした言葉を使います。
現状において前川氏が証言したのは官邸主導であって政治主導ではない、という部分も留意が必要です。
6月4日の毎日新聞の前川氏のインタヴューでも「首相秘書官や首相補佐官が各省の大臣より偉くなった」と問題を指摘していますね。
加えて、小泉政権は政治主導ということで決着しているようですが、連呼される単純なフレーズなどは電通が考えていたといわれ、小泉はその振り付けの通り動いていたとも言えます。
現在も「官邸主導」といわれますが、電通などの影響は相変わらず強いといわれています。そういう意味では官邸とだけでもくくれないような、権力中枢の怪しげな利権集団が形成され始めたのも小泉の頃からだったのではないかと思います。
和泉洋人首相補佐官や木曽功元内閣府参与が前川氏の事件でも「重要」な役割を演じていますが、官邸において内閣官房は絶大な力を持っています。政治主導と官邸主導と官僚主導、ここをしっかり区別しないと国民は未来を構想できません。
スタジオでは互いを牽制しあう三権分立の国の仕組みが崩れている、と涌井雅之。
目加田説子氏は内閣人事局制度を問題視。
目加田氏はそのようなことは言いませんでしたが、現状は官邸独裁と表現するのが適当なのだなと思います。
古田大輔氏は、官邸主導はいい面もある、という意見。優れた官邸であればそうなんですけどね。
もしかしたらまた中選挙区に戻るのかもしれませんけど、また人材そのものがだめなら違う制度が模索されるだけしょう。
ただ、官邸主導の「いいところ」は権力集中の良いところそのものです。比較的若い人の意見を聞いていると、三権分立が大切だよねといった意見よりは、権力の集中を容認するような意見を耳にすることが多いので、そこらへんは、基本は大丈夫なのかな、と思わされます。
小選挙区制推進の中で育ってきたからなのか。開発独裁の国の「機動力」を感じているのか。政権に阿っているだけなのかもしれませんけどね。
ふわっとした方向性に対する意見はありましたが、官邸主導の「弊害」がこれでもかと出ている中で、それを批判せずに官邸主導を容認するのはジャーナリストとしてあってはならない態度です。
気が付いてみれば、スタジオではたれも加計森友山口について話す人は無し。「岩盤規制」云々とか主語不明でほのめかす程度ならありましたが。
「官邸主導」に対する問題意識ではなく、それを体面としてかすりつつ、取り上げないように済む特集設定をしたということではないのか。
これこそメディアの忖度、もとい斟酌です。
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