《特別展》太田記念美術館開館30周年記念 『江戸の彩 -珠玉の浮世絵コレクション-』後期

#その他芸術、アート

この日は非常に人が多く、スリッパに変えずに、土足のまま入館してくれということでした。

鈴木春信の珍しい肉筆画の「二代瀬川菊之丞図」は軍配みたいな扇を持って半身をゆらっと覗かせた姿が、なかなか魅力があります。瀬川菊之丞は代々よほどの名優だったみたいですねぇ。

「引手茶屋花魁道中」は春信落款の司馬江漢の絵で、代作してもばれなかったと本人は言っているのですが、やっぱり春信と比べると静的な江漢の特徴が良く出ていると思います(^^;)

鍬形蕙斎は良く北斎と比べられますけど、私はつるっとしているだけで面白味が無いかなぁ、と思っていたのですが、このシンプルなにゅろっとした形は、飛鳥の天人辺りに意外と似ているかもしれません(笑)
「桜花遊宴図」は得意な感じの、丸みを帯びたざっくりとした遊興図。楽しさは伝わって来る絵ですよね。率直な感じが仙厓さん辺りの親類っぽいかもしれません。

葛飾応為の「吉原格子先の図」は前に観た時の記憶も鮮烈な作品。中島誠之助さんがいうには、名品は頭の中で巨大に育って、次に観た時には小さく見えるそうなんですが、この作品がまさにそうでした。

版本の挿絵の葛飾北斎の「春のみやひ」は舟を漕ぐ女性の柳腰の素晴らしさが、解説に書かれていましたけど、特に付け加えることはありません(笑)

やはり好きなのは広重で「日光三滝」が工房生産の噂もあるとはいえ、瀑流の轟音をはるかに、上空の鳥の声が聞こえてきそうなしんしんとした絵で、前に立たないと容易に分からない香りがあります。
三幅のうち「荒沢瀧」は裏から見られる瀧のようで、そんな瀧あったかな~と思って調べてみたら、崩落があったらしく、今では殆ど裏からみられないそうです。

国芳の「浴後美人図」は手ぬぐいを担いだヌードで普通なら、ほくほくっとなる所ですが、顔が余りにもこの前展示されていた芳年の国芳の似顔絵に似ていたので(^_^;)と思いました。

その芳年の「風俗三十二相 たのしんでゐさう 嘉永年間師匠之風俗」はたのしんでゐさうとありますけど、このシリーズの女性は大抵楽しそうです(笑)

その弟子の水野年方の「三井好 都のにしき 土用干」は大正浪漫の爆発を待つかのような楚々とした女性が描かれていて、清方は確かに年方の弟子なんだなぁ、と確認いたしました(笑)

カタログには集めた太田さんの話が書かれていて、画家を志した若い頃に海外で浮世絵の高い評価を肌で感じて収集を始めたそうです。なんでも戦争中に一番好きな作品群が空襲で焼けてしまったそうで、一体何が燃えたのかと思うと、夜も眠れ・・・ますけど、気になります(笑)またカタログにこの前感動した普賢菩薩が載っていたんですけど、まったく雰囲気が消し飛んでいるのでビックリしました。本物を覚えて妄想するのが一番のようです(笑)
文化財保護をされる方には頭が下がりますし、意外と実益にもなると思いますので、現代の財力がある人もぜひぜひ。

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