行って参りました。
展覧会の最初の作品は注目。「色絵 芥子文 皿」は花が隅に描かれていて、残りは余白。土佐光起によれば、余白こそが大和絵の真髄だそうで、オーソドックスな日本らしい美しさをふんだんに含んだ作品だったと思います。
「色絵 七宝菊文 稜花皿」は表は絢爛で、裏から見ると落ち着いた染付け風の絵柄が描かれているのが、良い感じです。鏡が置いてあって後ろから見られる展示が素晴らしくて、他の美術館にも追随して欲しい所です。
鍋島焼きはヴァリエーションが沢山あって、一つ一つの皿が特殊な個性を持っているので、全て感想を書きたいぐらいですが、「銹釉青磁染付 桜饅幕文 皿」が赤・緑・青に仕切られた前に桜が咲いている絵で、おおげさですけど、桜が一つ一つの宇宙を貫いているような印象を受けました。
「色絵柴垣桜花波濤文 皿」はすいっこすいっことした、波の紋様に躍動感と浮遊感の中間のような感じがある作品。
第二展示室からは中国のもの。景徳鎮のものは焼き物の本筋らしく、余計な情報かも知れないですけど、完成されている雰囲気が充満しています(笑)
解説が丁寧で、時代によってドラスティックに変わって行く様がよく分かりました。元時代は白色が尊重されていて、イスラムの紋様などが取り入れられたそうです。明代は貿易が禁止され、西方との関係が途絶え、良質なコバルトが手に入らなくなったので、銅なども彩色に使われたそうです。
日本は細かく見て行くと色々あるみたいですけど、対外的なものによる変化といえば、基本は中国との国交次第で、中国のダイナミックさは別天地です(笑)
解説が非常に整った美術館で、焼き物を髄まで見せよう、といった迫力まで感じる美術館でした。地味で地力のある良い美術館でした。
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