ブリテン歌曲集 ボストリッジ ラトル指揮BPO

#その他音楽

どうもポストリッジの魅力に目覚めつつ有ります。声自体はそんなに取り立てて特徴は無いと思うんですよね。しかしこの味わい深さはどうでしょう。良く中島誠之助さんが、骨董の真贋は飾って置くと分かると言っていますが、ボストリッジは聴けば聴く程心地良く、これは正に本物の芸術が持つ芳香で有ると思います。
近くの図書館にはポストリッジのCDは後はヴォルフの歌曲集が有るのみなんですが、あんまり得意ではないヴォルフにももしかしたら手が伸びるかもしれません(笑)
ジャケットのボストリッジを見て一瞬ブリテンだと思ったんですけでど、僅かに似て・・・居ますかね?(^_^:)
伴奏のラトルもフレッシュで、上手く付けています。ラトルは優等生過ぎるというのは言いすぎですけど、私の感覚からすれば一般に受け容れられなくなる危険が有る程度の逸脱はしない指揮者で、このCDを聴いていてもC・クライバーとノリントンを足して2で割っ(てちょっぴりカイベルトを加え)たような指揮者だなというのが印象です(笑)既成概念的な世間の要求から逸脱しているように見えて、実はあんまりしていないというのは、各分野の成功している人に良く有る図式で、ややもすればラトルにも当てはまってしまうのではないかと感じるときも有ります。
ノクターンは歌手・曲共に特に良かったですね。劇的で幻想的で楽しかったです。音量が大きくなっても繊細な印象が有るのが素晴らしいと思いました。音色から想起される情景は都会の裏路地ですね。表には人が沢山通る一方で、一寸外れた所では誰も居ない所で雨が鉄の階段を穿っている、といった風でしょうか。
ブリテンは言わずもがなの有名作曲家ですが、ポピュラーも書いている人でメロディーも純音楽的であってもどこか親しみ易いです。近現代のクラシック作曲家で親しみ易い物を書いている人って言うのは、同業者の作曲家の有るべき姿を押し付ける視線から逃れている人だと思うんですよね。今の作曲界の救い難い所で、予想はしていたのですが、本当にグレツキとかを形式の視点から批判している人が世の中に居る事には、結構驚きました。武満であるとかの様に無調で?良い曲が書けたり、どうしても表現したいことが有るならそれは一つの在り方ですが、作曲家の方々にはもっと様々な形式で音楽を書いたり、書き易い業界の空気を作って欲しい物です。

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