ただ券を貰ったので、最終日の午後に駆け込んできました。
紀元前十五世紀のメソポタミア文明の瓶とか、そういう桁違いに古いものが沢山有って、ここに有って良いのか、とさえ思いました(笑)イラクの政情が荒れているからここにあるのか、とも考えましたが、紀元前三世紀のローマの瓶であるとかも沢山有ったので、特にそういう事では無い様です。しかも何処から借り受けたとも表示していなかったので、もしかしたら博物館の持ち物なのかもしれません。だとしたら恐るべしです。(今調べたら、「平山郁夫シルクロード美術館」の所蔵品だそうです)
ちなみにこの博物館自体の回顧展もやっていて、最近でこそ高層ビルに美術館が入っている事は珍しくないが、この博物館はその先駈けだった、と有って、プライドを感じました(笑)
タイトルの通り、平山郁夫の絵も沢山有りました。シルクロードで描いてきた砂漠の絵が多かったです。字にしても線にしてもカクカクとしていて、自然物を描いているのに鉄筋コンクリートのビルの廃墟に見えてしまうような所があります。私は全く好みませんが、個性ともいえるのかもしれません。
以前から思っていたのですが、古い美術品は細工が細かいです。紀元前3~1世紀のローマ時代の「花文モザイク板」は花の描写が徹底的に微に入っていましたし、紀元前4~2世紀の中国の「戦国玉」も模様が実に細かかったです。こういうのを見て、後代の人達は中々細かさで勝負する気にはならなかったんじゃないか、と思うんですよね。そこで現代に至る個性やニュアンスで勝負する美術が開拓されて来た、そういう流れがあったのではないかと思っています。
興味深い作品が沢山有りましたが、パキスタン三世紀クシャナ朝の「仏塔形舎利容器」が、小指くらいの塔の真ん中に透明なガラスが輝いていて、惹かれました。小さな塔に、小さな心があって、1500年以上地球の片隅で輝いて来た。そんなロマンを感じさせる、一輪の花の様な品でした。
用事の関係で、無理矢理気味に行った展覧会でしたが、行って良かったと思いました。桁違いに古くて、細工が丁寧なものばかりで、かなりショックを受けました。運営の方は有難うございました。
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