村治佳織 リュミエール

#その他音楽

村治さんの小品集です。写真集としての出来も最上で、諏訪内さんのCrystalと比べても僕はこちらを断然採りたいです(冗談)

サティはこの前、適当にピアノ曲集を借りてきたんですが、扁平な演奏でさっぱり面白く無く、途中で聴くのをやめてしまいました。
「ジムノペディ」の村治さんの演奏は一音一音に表情に違いが有って、楽しく聴けました。ピアノという楽器に対するギターの長所とも言えますし、村治さんの抒情的な音楽性のお陰ともいえるでしょう。
サティはトラック15の「グノシェンヌ」も素晴らしく、素朴な構造を下地にしたギターの自在な表情がたまりません。
「亜麻色の髪の乙女」も主部に向かって盛り上がっていく所に、思い切った清新さを感じました。
「亡き王女のためのパヴァーヌ」は自然で趣深く、素晴らしいの一語です。
この曲は私が特別に好きな小品ですので、それを上手く弾いてくれるという事は、好きな音楽の方向性が私と近いのだと思います(笑)
ディアンスの「サウダージ(郷愁)第3番」は名前の割には、余り物悲しさが無い曲です。日本で言うもののあはれであるとかより乾いていて、男性的な強さがある言葉なのかもしれませんね。
クレンジャンスの「舟歌」は、一貫してぽろぽろと流れる低音がそのまま水のようで、水路を行く船の情緒が感じられます。村治さんの柔らかさが、典雅な趣を引き立てています。
期待の吉松隆の「水色スカラー」は第一番の序奏からして聴かせてくれます。ファイナルファンタジーの音楽に出来そうな親しみ安さと、純音楽の作曲家ならではの幽かな表現の取り合わせが絶妙です。村治さんのギターも、時に自然物的な無機性を感じさせる吉松の音楽に、彩を添えています。
ドビュッシーの「月の光」も遅いテンポから紡がれる、弦の残響を生かした演奏が絶品です。

村治さんの音楽性は、ギタリストの中でも小品と相性が良いものだと思います。女性らしい、というと安易かもしれませんが、濡れたハートを感じさせる演奏をこれからも聴きたいものです。
新しい音楽を聴いていくのは楽しいのですが、余り変な曲や演奏を聴くと、逆にダメージを受けることが多々あります(笑)そういう音楽の海の中の、一服の清涼剤のような演奏でした。

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