諏訪内晶子 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番・第9番《クロイツェル》

#その他音楽

この前テレビでやっていた「女形の夢 板東玉三郎と梅蘭芳」にはとても感動しました。
歌舞伎、特に女形は長らく自分の中で謎だったんですけど、梅蘭芳(一発変換でした・・・何の辞書に入っていたんだろう)さんの演技を見て、女形って何なのか、やっと分かりました。いや、きっと分かったのはその小指位でしょうけど(笑)機会が有ったら見に行ってみたいですねぇ。
京劇の人も玉三郎さんも、心の大切さをしきりに説いていたのが印象に残りました。しかもその心は静的なものではなく、舞台の上で生々しく躍動するものなんですね。ここら辺はどんな分野でも共通ですよね。
この後にお笑いの山本高広さんを見て、この番組を思い出しました(笑)梅蘭芳の乙女の胸のときめきと、山本さんの感極まった心は、鍛えの入り方は違えど近いものなのではないでしょうか。

諏訪内さんの最新作ですけど、第7番は諏訪内さんにしては大人しいでしょうか(ブラシーボ効果)。諏訪内さんが顔のCDですけど、ピアノの音を大きく録っているのが良いですよね。
第7番の第1楽章は以前の様な覇気もたまに聴こえます。
第2楽章も弱いだけの音楽になってしまっているような所が有ると思います。
第4楽章が一番良かったと思います。端正な向こうに、激しい感情が透けて見える、いつもの個性です。
この第7番聴いていて何故か浮かんだのは、夏の日の夕方の前の縁側の風景ですね。全体的に以前より儚い印象です。

クロイツェルは最初から気合が入っています。
それにしても激しい曲ですよねぇ。伊福部昭さんのヴァイオリン・ソナタに近い力強さです。
諏訪内さんは楽譜を読み込んだのだろうことが、とても感じられる演奏です。
ピアノのアンゲリッシュも中々雄弁で、がしゃがしゃした、デジタル的な?迫力が有ります。
第2楽章は、以前の不可思議な、聴いていて不思議に胸が熱くなる様な感覚が、一番有りました。さっきの京劇と同じで、同じ一つの音を弾いていても、その奥にある感情が普通の人とは全く違うんだと思うんです。
秀才型と良くいわれる諏訪内さんですが、音楽の質から言っても、今の所の成熟の仕方から言っても、実は天才型なのかもしれません。才能の前途に幸あらんことを。
第3楽章も素晴らしいです。聴いていて、固まる前のチョコレートがぐるぐる撹拌されている様が思い浮かびました(笑)そういう蠱惑的な所のあるCDだと思います。

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