サントリー美術館 「もののあはれ」と日本の美 第八展示期間 その5

#その他芸術、アート

半沢直樹の最終回をちょろっとみましたけど、最後は当然こうだろうというところですよね。勧善懲悪で通ったらリアリティがゼロですからね。そういう意味では脚本もしっかりしていたというべきでしょう。

解雇されたり追い出し部屋に招待されるとか、消されなかっただけ、甘いくらいですよね。むしろ、会議の中だけでも、正しいからといって主張が通ったのはあり得ないのではないでしょうか。

やっぱり、特に原発後の日本全体を暗喩的に扱っているから受けているんですかね?

「NHKアーカイブス モノづくり日本 再生への道しるべ(3)独創的研究を産業に」はテレビ欄を観ても詳しいデータを取得しても、何をやるのか全く書いていないので、何なのだろうと思ってみてみたら、「闘う独創の雄」こと西澤潤一氏の光ファイバー開発の話。(http://blogs.yahoo.co.jp/ffggd456/51670555.html
http://blogs.yahoo.co.jp/ffggd456/51251302.html

1985年の放送で、当然ながらめちゃくちゃ若いです。

西澤潤一という名前を使わないのは、あんまりみんな知らないだろうから視聴率が取れないと思ったのか、それとも政治的に偏っているのが問題なんですかね?

物凄く優秀な科学者で、ノーベル賞候補だったんですけど、この前のiPSの時のように主要な研究である光通信の分野で2009年に3博士が受賞してしまい、そこから漏れてしまったので、以降は厳しいのですかね?

ただ石原慎太郎の友達で、そういう偏りが。

この番組では西澤の先駆的な研究が日本で受け入れられないさまが描かれていますけど、すでに国全体が大企業病にかかっていて、独創的な研究を受容する土壌が日本に無かったのと、本人の政治的な主張、もしくはそういった方向に流れて行ってしまいそうな人間的な危うさが、合わせ技で受容を妨げてしまったのでしょう。

原発に関しては以前からバリバリの推進派で、旧著に書かれていた、アインシュタインは殺人者ではない、といった言葉が印象的。

科学には正の側面と負の側面と二面性があるわけで、科学者は自分が携わっているわけですから、どうしても正の側面を強調したくなるのですが、そこで踏みとどまって負の側面を見詰めないと取り返しのつかないことになるでしょう。

気合と創造力は抜群なのですけど、そういう大局的なバランス感覚に欠けている人です。

結局そういう部分が足りなかったので、ノーベル賞ものがしてしまったのではないですかね。ただ、今回書いていて調べれば調べるほど、受賞できなかったのは不当ではないかという文章がたくさんあり、科学界の政治的な側面も大きいのでしょうね。

最近でも原発事故はヒューマンエラーであって原発は悪くない、とかたくなに主張。では、原発を推進するのかというと、どうも(巨大)水力を推しているみたいで、それで賄おうとのこと。どれほど実現可能性があるのかはわかりませんが、良いものだったら開発してほしいものですね。

しかしやはり、真摯な総括は欠くべからざるものでしょう。それは今後の科学の正しい発展のためでもあります。

良い部分もあるけど、微妙にずれた人だなという印象。私は藤原正彦を記号を操る鈴木宗男、と呼んでいるのですが、この人にも似たようなものを感じます。業績は抜群で、そういう意味では全く較べられませんが。
善悪含めて戦前の人間、といった趣です。

番組では光ファイバーの開発をやっていて、眼鏡を通しただけで光が減衰するのに、何十キロも光を通せるわけがないだろう、と当時は周囲から笑われていたとのこと。昔から光ファイバーと、当たり前のように言っていますが、改めて思うとものすごく不思議で、当時の科学者にとっても常識の範囲外だったことがわかります。

それを突破した西澤潤一の力技はさすがですし、研究成果が多彩な人なんですよね。身近なところでは赤と緑のLEDを開発したのもこの人ですし、近著「生み出す力」((PHP新書) 西澤 潤一 (著) )もそれなりに良いことも書いているので読んでみるのも面白いかもしれません。

なかでは経団連の中で熱弁をふるう西澤潤一が放送されましたが、経団連は土光敏夫をはじめ、こりゃだめだ、と思わせるような雰囲気で、高度経済成長期のストックをこういった連中で食いつぶしていったのだな、と思います。(今ももしかしたらさらにひどいですが)

番組中では、日本人の独創力に関してかなり卑屈な雰囲気が充満していたのが印象的。違和感を覚えますから、最近はかなり変わってきたのですかね?
このころの人は日本に独創力はないといいますけど、欧米は植民地から搾取した富で一足早く科学技術を発展させているのですから、他国にそれをキャッチアップする過程があるのは当然だと思います。

また番組後の総括で、西澤とも関係が深い八木秀次の八木アンテナに触れられていましたけど、これはアメリカ軍はみんな知っていたのに、日本軍は誰も知らなかった、ということが有名です。明治から振り返ってみると、日本人の独創は多いのに国内で無視されてきたというのがあるでしょう。

また西澤のコメントの、独創性のある商品を生み出せば貿易摩擦は起きない、という言葉が放送されましたが、確かにその通りでそういう考えは大切なのと同時に、改善系の創造を、創造として過小評価してきた歴史があるでしょう。改良は結局独創の積み重ねですからね。

また江戸期の科学的・文化的な独創に目を向けてこなかったから、こういう神話が成立したということでしょう。

いろいろありますが、わたしはそもそもの日本民族は非常に独創性にあふれた民族で、そういったものを伸長させる文化・伝統を持っていたと考えています。

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