上野の森美術館 ボストン美術館浮世絵名品展 北斎 その1

#その他芸術、アート

行って参りました。

ボストン美術館の浮世絵シリーズ全三回の最終回らしく、第一回は当ブログの一番最初の方にあるもの。

あれは実に衝撃的で、印刷を観てはいまだに震撼しています。

第二回も初期浮世絵の名品が印象的な素晴らしい展覧会でした。

最後の今回は日本を代表する絵師を深く掘り下げます。

世界最初の北斎展はボストン美術館でフェノロサが開いたもので、北斎一門の肉筆画ばかりを集めたものだったそう。

フェノロサは北斎を嫌っていたはずなので意外でもありますが、案の定カタログにはフェノロサや岡倉天心は北斎や浮世絵を庶民の下等な芸術として見下していたとのことが。

ボストン美術館の浮世絵の多くはフランス人のビゲローが集めたものでボストン美術館内の北斎の37パーセントを占めるらしく、今回は主にそれが来日。

門外不出の絶美のコレクションで知られるスポルディング・コレクションは今回は残念というか当然ながら来日ならず。展覧会最後には現代の技術で摺り直した極彩色の浮世絵のお土産が売られていましたが、それの再現にはこのコレクションも一役買っているはず。

しかしものによってはビゲローのものの方が保存状態が良いものがあるとのこと。

やっぱり北斎を集めたのはフランス人なんですね。

フェノロサの北斎嫌いは、すでに北斎のブームの絶頂だったフランスへの対抗上、それは日本美術の真髄ではない、というような立場をとっていたからだとも言います。

そうであれば、展覧会が肉筆画ばかりだったのも、版画ばかりが流通していたフランスのジャポニズムに対抗したものとも解釈できるでしょう。

阿修羅展などと比べるとそこまで人が来ていないようですが、それでも列の長さは相当なもの。冬を迎えるころだというのに、いまだにデング熱の噂をする声がちらほら。

鑑賞の列の進みがやたらと遅いのも本展の特徴で、今までで一番遅かったように感じました。

絵を観ると北斎の描き込みが尋常ではありません。これをすべて確認していくから時間がかかるのだな、と思いました。

これでもかと一枚の絵に様々な要素が盛り込まれていてしかもバランスが取れているのは北斎の大きな特徴。

しかも一枚一枚趣向が違い、そのようなハイカロリーなものが今回は140点。

北斎の絵はまだまだ無数にあり、しかも空襲で燃えたものも多かったといわれているのに、いまだにどれだけ濃厚な世界を構築しているのか、とまさにくらくらするくらいです。

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