2006年10月31日 ルイサダ ピアノコンサート

音楽

(これも恐らく8年くらい前に書いた文章をそのまま載せます。
クラシック倶楽部
2007 年 2 月 26 日(月) 13:00~13:55放送
ジャン・マルク・ルイサダ ピアノ・リサイタル
1. ピアノ・ソナタ Hob.XVI-6 から 第 3 楽 (ハイドン)
2. ピアノ・ソナタ 第 8 番 ハ短調 作品 13 「悲愴」( ベートーベン作曲 )
3. ピアノ・ソナタ 第 3 番 ロ短調 作品 58 (ショパン)
ピアノ : ジャン・マルク・ルイサダ
[ 収録: 2006 年 10 月 31 日, 昭和女子大学 人見記念講堂 ])

ハイドンは細かい起伏に富んでいて、どう考えても古典的じゃないですが、そこが素晴らしいです。
フランス風のピアニストとも呼ばれるルイサダですが、しゃれっ気があるとかというよりも、単純に心で弾いている事が良く伝わって来る演奏です。そういう積極的な意味で、教科書的といえるかもしれません。
悲愴は切れ目の無い、しっとりした音楽が基調で、ベートーヴェン本来の野蛮な音響は、寧ろ背後でサビとなっています。
聴いていてメープルシロップの質感を思い出しました。郊外の、ややくすんだ喫茶店の趣かもしれません。
ショパンも華麗さも強さも無い音楽です。曲に奉仕しているように聴こえる形で、ルバートを自在に使い、さらっと弾いている中に、さり気無く漸弱を混ぜる技に痺れます。
第4楽章なんかも、結構ミスタッチがあるように聴こえるのですが、それが魅力にしかなって居ない様に感じます。ミスタッチが余り難しそうに聴こえない所で起こっていることにも、好ましいものを感じます。心が籠ると、簡単でもちょっとずれちゃうんですね。
正確性と創造性は時に背反するといいますが、ルイサダの音楽は極めて創造的で、しかもそれを確信的にやっているといえるでしょう。世の中のピアノの先生がこんな人ばかりだったら、音楽界は天国に違い有りません(無理)

コメント

タイトルとURLをコピーしました