ドビュッシー、ラヴェル、ウェーベルン 弦楽四重奏曲集 ハーゲン弦楽四重奏団

#その他音楽

同時代の三人の有名音楽家の弦楽四重奏を収めたアルバムです。
最初のドビュッシーは良い曲です。「夜想曲」の良い演奏を聴いた時に感じる感動が、この曲の中にも入っています。
ヴァイオリンが音域の上昇、下降。漸強、漸弱を急速に繰り返し、濃厚に歌ったかと思えば、次の瞬間には消え入りそうな朴訥とした音楽を奏でている・・・。
月に雲がかかってはまた現れる様な、煌々としたロマンティシズムがあります。
第2楽章、第3楽章は控え目で、第4楽章はベートーヴェンを思わせるような覇気が感じられます。

ラヴェルの室内楽は演奏家によっては、アカデミックなつまらない音楽に響くことがありますが、ハーゲン弦楽四重奏団はラヴェルの中の叙情的な才能を上手く掘り起こして音にしています。
第一楽章は不協和音が多く、新ウィーン楽派的な要素を幾らか帯びているような所があるのかもしれません。そんな音の中に素朴な旋律が混ざっていたりして、バランスの良い曲です。
第二楽章はピッツィカートの多用が、發弦楽器好きには嬉しいです(笑)ジプシー音楽の様な哀感を帯びています。
第三楽章は僅かにジークフリートの牧歌を思わせる様なパッセージが出て来ますが、かの曲と似たような平和で時に盛り上がる音楽です。
第四楽章はフィナーレ的な勢いの中に、ラヴェルの切れ味の鋭い音が聴こえます。

ヴェーベルンは中々。後期ロマン主義が熟して消える寸前の瞬間をそのまま音にした様な雰囲気があります。現代音楽的な志向と甘美なメロディを備えた音楽です。

三様の個性を持っていますが、ドビュッシーの第一楽章、続いてはラヴェルの第二楽章辺りが印象に残りました。

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