ベトナム、ラオスの音楽 ~豊穣のメコン

#音楽レビュー

この前のBSの法隆寺のスペシャルは面白かったですね(^_^)地上波の内容とちょっと被っていて、一部分を二回見た勘定になってしまいましたけど(笑)聖徳太子の書かれた、三経義疏。中でも女人成仏を説く「勝鬘経義疏」の意義が強調されていたのが印象的でした。三経義疏は信頼できる人が凄く褒めていたので、読んでみようと思いつつ、まだ読んでいません(^^;)
伝統的な仏教に女性を差別するような所があるのは事実ですが、釈迦自身は遊女をはじめ女性に分け隔て無く法を説くような、平明な人でした。サンユッタ・ニカーヤという古い経典にも「カースト制度や、後代の「転成男子」の思想と、真向から対立する」記述があります。(中村元著 ブッダ悪魔との対話―サンユッタ・ニカーヤ2p330)
維摩経も「根本的には男女平等の見方の確立を志向している」(木村清孝著 華厳経をよむp260)そうです。
キリスト教などもそうであるように、仏教も時代の価値観に歪められてしまう事がしばしばでしたが、日本の出家の最初は尼さんでしたし、聖徳太子のような平らかな思想を持った方々も、点ではありますが、いらっしゃいます。仏教界には疑問は大有りですが、仏教自体は深いものを秘めている、と僕は思っていますし、これからも学んで行きたいです。

民族音楽は昔から好きで、前に「インドの民謡」を素晴らしいCDとして挙げました。あれは私がとても好きであると共に、他の音楽ファンの方にも同意を得やすそうな所があって、挙げやすかったんですけど、結局の所はみんな好きなのです(笑)
1.「ブラン族の子守り歌(布朗揺籃曲)(楊建生)〈ラオス〉」はオカリナを思わせるような笛がメインですが、落ち着いてしゃがれた良い音で、これと比べると、宗次郎さん等の音楽は、良くも悪くもインターナショナルな音楽なんだな、と思わされます。
伴奏に笙が使われていて、なんと雅な!と思ってしまいましたが、竹はベトナムに良く生えているので、庶民的なんだなと一人で納得しました。

地理的に当然ですが、中国とタイとインドの中間のような音楽です。
4「ナーン・テンオーン民話」はケーンの信号が点滅するような音が面白いです。ずっと続く同じ旋律が、オスティナートっぽい効果を出して来て、後半に行くにつれて、意識を僅かに朦朧とさせます(笑)
5「春がくる」はフルオーケストラ?の楽しい曲。70年代の曲なんですね。
6「ハイン・ヴァン~コ・バン」は17、8世紀の曲だそうで、ダン・バムという楽器の、滋味溢れるテルミンのような音が、9分間を枯淡に流れます。演奏の向こうに、雄大だけど、住むには難しそうな空間が広がります。

7「トゥ・ダイ・カイン」は江戸時代にかなり普及していて、坂本龍馬も弾いていたという月琴の音色が、中国的で面白いです。江戸時代に、異国情緒たっぷりに魅力を振りまいていただろう事が、容易に想像できます。
8「美しきフエの都」も中国風。琴と笛にあわせる調子が良い曲で、演歌調に唸ったら楽しそうです(笑)落語のらくだのリズムに近いものを感じさせます。
9 「ロップ・ソー」は葬祭の音楽。篳篥のような音が出る笛の素っ気の無い音に、太鼓が調子を合わせる曲で、色気の無さに色気を感じさせる、儀礼系の曲らしい音楽です。
儀礼といえば、前に伊福部昭さんと白川静さんの類似について話しましたが、それぞれの研究する文化(音楽と文字)が古代の儀礼とかの為に独立的に作られた、と主張される所も似ているんですよね。やっぱりこういう類似が出てくるのは、人としての方向性が近いからではないかと思っています。

10「香寺参り」は女性歌手の浪花節っぽい曲。民謡なんですが、ポップスっぽい編曲で、ベトナムの音楽の今後の展開を予感させて、終わります。
いわば文明の中間地帯で、時代も混ざり合っています。怪しげな横丁の店で、よく分からない惣菜を摘みつつ、しかしどこかしっくりくるような、そういう気分にさせてくれるCDです(笑)

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