ヤン・コボウ & 村治 佳織 歌曲集「美しい水車小屋の娘」から

#音楽レビュー

バンクーバーオリンピックは面白かったですねぇ。ぼんやりみていて一番面白かったのは、女子のアルペン系の競技でしょうか。
浅田さんは昔から思っていたんですけど、コーチとか、自分を育てるための人材の配置とかメニューを作るのがあんまり上手く無いような気がします。キムさんのオリンピックまでの具体的な軌跡を放送していたら比べてみたいな、と思っていたんですけど、適当に観ていた限りでは、そこまで踏み込んだ放送はありませんでしたねぇ。
僕はそもそもみきてぃファンで、浅田の映像をブロードキャスターで最初に見たときには、危険を感じたものでしたが、その浅田がここまで苦戦するとは信じ難い。
キムさんの演技は素晴らしくて、花郎の持仏だったという、弥勒菩薩半跏思惟像に似た様な美しさだったかもしれません。

今回の大会では全員といって良いほど、みなさんの応援のお陰でここまでできた、という事を言っていて、模範的な人が多すぎることに釈然としないものを感じつつも、感動。白川静さんの言葉で一番位に好きなのは、「国語における「みる」の系譜は、愛情を志向するものであった」というものなのですが、そういうことを感じたオリンピックでした。

BSでの放送です。
40代までは20代と変わらない、といっていた人がいましたけど、コボウはそんなことを思い起こさせる、声、風貌。
周囲に程よく耽美な雰囲気を作りつつ、豊かさを感じさせない豊かさを持った声で、曲を大切にしている感じが伝わってきます。
問いかける宙ぶらりんな雰囲気も中々素晴らしく、村治さんも良い人と組んだな、と思います。

村治さんは自分は伴奏ですよ、といった感じで、引き立てる事を考えている雰囲気が、いじらしいです。
村治さんはややもすれば変に消費されてしまいかねない位地にいる人ですが、そういう自分ととても上手く付き合っているな、というのを以前から感じます。

充満する情緒の中にも穏やかな演奏で、pらへんの音に寂びと言って良いような情感が常に息づいていたと思います。
ピアノ版とは違う完成度がある組み合わせで、若者の率直な感情といった風の、よりすっと入ってくるものになっていると思います。

メルツの「エレジー」は他の演奏を知らない曲で、 僅かにあっさりしている気もしますが、強調しない所がかえって余韻が香って来る路線の、良い演奏になっていると思います。

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